2008年04月11日

西新宿/Park Hyatt Tokyo Pestry Boutique(1):メープル・シュークリーム

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○メープル・シュークリーム - Chou a la Creme au Miel - (\380)

自宅から歩いていける距離にあるホテル、パークハイアット東京。ここのペストリーブティックに以前から行きたいと思っていました。行ったのは4月最初の週末。

パークハイアット東京といえば、初代ペストリーシェフが、あの「オークウッド」の横田シェフ。その後も、現ザ・ペニンシュラ東京で腕をふるう野島シェフがシェフを務めていた場所です。野島シェフは全日空ホテル時代から15年間、横田シェフの下で一緒に仕事をされていた方。

そして、現シェフが川内シェフ。川内シェフも全日空ホテル〜(ア・ポワン〜パンパシフィック横浜〜)パークハイアット東京というキャリアの持ち主。ア・ポワンでは岡田シェフに技術を学んだそうです。事実、粉の焼き加減は素晴らしいのですが、それは後ほど。

ペストリーブティックのケーキはブティックのすぐ下にある1Fのデリカテッセンでイートインが可能です。最寄り駅は初台になるでしょうね。新宿からだと正直遠いです。パークハイアット東京は、あんまりホテルという印象がないんです。パークワタワーというビルにある一部でしかないし、東京ガスが入っているので、今までは「東京ガスのビル」という認識が自分の中では強かったですね。

種類は決して多くありません。ザっとショーケースを見渡した限り、ケーキは10種類ほどです。価格も、最近の材料費の値上がりもあってか、はたまたホテルらしい設定でもあるのか、600円代が中心です。…ですが、美味しかったんです。それは後ほど。

ところで、結構おみやげに重宝されているそうですよ、こちらのシュークリーム。かなり大きいシュークリームです。パティスリーで見かけるシュークリームの倍くらいありそうです。下手したらもっと大きいかも。シュークリームを大きく作るあたり、岡田シェフの影響もあるのでしょうか。

上フタ式のシュー皮はシュガーパウダーがたっぷり振ってあります。かなりしっかり焼き込まれていて、意外とハード寄りの食感です。底の部分をもつと判るんですが、これはもうほとんどタルト生地に取って代えてもいいくらいしっかりしているのです。かといって、今時のパティスリーに並ぶようなガリガリ堅い生地ではないんです。

そして、生地自体に余計な味が加わっていない。粉の旨味を味わうシュー皮、という印象です。上フタを一口食べただけで大人の味わいが伝わってくるシュークリームというのも、なかなかお目にかかることがないので、ジーンときますね。どうしても最近のシュークリームというのは、生地のハードな食感と中のカスタードの滑らかさ、という対比に固執しているようにさえ感じられることがあり、いろいろ食べている中で表現の煮詰まりを感じていました。しかし、このシュークリームは違いましたね。作り手が粉の旨さに向き合ってる。シュー生地を食べてこれほど粉が旨いと思ったのも初めてかもしれない。

というのも、大抵シュークリームというと「皮がハードかソフトか」「塩気が効いてるか効いてないか」「カスタードが自分好みかどうか」このくらいの物差しであることが多いと思うんです。事実、どうしてもカスタードの炊き具合の方に意識がいってしまいがちになる。東京のパティスリーで「粉」にこだわるというと、とにもかくにもヴィロンを思い浮かべて終了してしまうことがあるというか。ゆえに、己の浅さを痛感しました。世の中の広さというか。所詮、自分はフランス菓子をまだよく知らないレベルにしかない一個人であることを思い知らされましたよ。「粉」を味わうという原点に気付いたのです。ここはフランス菓子を食べ歩いてきた僕にとって非常に重要な発見になりました。どういう発見をしたかについては、近いうちにこのブログでまとめたいと思います。

このシュークリームからは男臭い職人魂というか、気概みたいなものが伝わってくる。
旨い、このシュークリーム。

少なくとも300円以上とるシュークリームとして文句なしに認められる。正直に打ち明けますが、ホテルのケーキはもっと違ったものかと思っていました。この場をもって詫びたいです。今回のペストリー・ブティックでお菓子屋めぐりも140店目になるんですが、このシュー生地にはちょっとショックを受けました。下手に200円台のありふれたシュークリームを食べるより、ずっと価値があるとさえ感じました。

「(その店のお菓子は)自分の味覚と相性が合うかどうか」という部分を超越してしまってるような気がする。もちろん、結論からいえば、相性は良かったです。ただ、それを超越した部分での、やりとり、というか。作り手からのメッセージが伝わってきてしまった。それを舌の上で感じ、胃袋で受け止めてしまった。体の中に取り込んでしまった分、受けた衝撃が強かった。肚で受け止めた衝撃はズシっとくるのです。

それは「粉」の大切さ。
いかに粉を美味しく食べるか。



一方、クリーム。大きいので当然、中のクリームもたっぷりですよ。きちんと引き算された甘さ控えめのシャンティーとメープル風味のクリームが入っています。どうやら、シャンティーがかなり甘さ控えめなのは、どのケーキにも共通しているようです。

そして、メープル風味のクリームは、まるでキャラメルのようにホロ苦さが効いていて、シュー生地にぴったりきます。メープルは当然ハチミツのことですが、ハチミツって甘いだけじゃなく、ほのかな苦みも併せ持っていますから、ついキャラメルと錯覚してしまうこともあるかもしれません。

今年食べたシュークリームの中で一番の評価をしたいです。
これはケーキ好きの方は一度食べておいた方がいいと思います。
食べたらきっと「ホテルのケーキ」という浅い印象では終わらないのではないでしょうか。

このシュークリームに出会って、今の東京のパティスリーの流れがどういうものなのか、以前からおぼろげにイメージしてたことに対して初めて輪郭を得、逆説的に流れを読み取ることができたように思いました。それについては、やはり近いうちに、ということでこのエントリーを一旦閉じたいと思います。

といっても、パークハイアット東京ペストリーブティックのケーキ紹介は、あと3つ残っているので、明日以降も続きます。しばらくヨロシク。

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Park Hyatt Tokyo Pestry Boutique(パークハイアット東京ペストリーブティック)

場所:東京都新宿区西新宿3-7-1-2 パークタワー2F
最寄駅:京王新線「初台」駅より徒歩4〜5分ほど
営業時間:11:00-21:00
定休日:無休
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西新宿/Park Hyatt Tokyo Pestry Boutique(2):苺のショート

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○苺のショート - Short Cake - (\600)

ホテルのケーキはパティスリーのケーキよりも確かに高いですが、その分とても大きいですね。パークハイアット東京ペストリーブティックで食べたかったケーキの一つがこの「苺のショート」でした。

非常に大粒な苺を使っていますし、鮮度も良かったですよ。砕いたピスターシュにホワイトチョコの飾りがありますが、見栄えは実にシンプル。シャンティー部分は面積が大きく、甘さは控えめ。ジェノワーズはものすごく柔らかく、素晴らしい口溶けでした。

全体的にすっきりしたまとまりなので、大きくてもあっという間に食べられます。

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Park Hyatt Tokyo Pestry Boutique(パークハイアット東京ペストリーブティック)

場所:東京都新宿区西新宿3-7-1-2 パークタワー2F
最寄駅:京王新線「初台」駅より徒歩4〜5分ほど
営業時間:11:00-21:00
定休日:無休
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2008年04月12日

西新宿/Park Hyatt Tokyo Pestry Boutique(3):ストロベリー・マカロン

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○ストロベリー・マカロン - Macaron Fraise - (\590)

ストロベリーのパウダーがかかった大きなマカロンサンドのケーキです。こういう色使いのマカロンサンドは他のパティスリーでも見かけることが。見栄えが可愛らしいよなー。

下のマカロンには一枚チョコプレートが敷かれています。水分を吸うのを防ぐ意味が大きいかとは思いますが、実際このマカロンは中の生地がとても繊細です。他のお店で見かけるマカロンサンドのケーキだと、もっとふっくらしたビスキュイっぽい食感に近付けて、水分の吸収に耐えうるように焼いてると感じるのですが、川内シェフは、そこらへんで妥協せずにあくまでマカロンの口溶けを失わないままケーキにした、という感じでしょうか。

川内シェフの作るケーキから伝わってくるのは、やはり素材の良さを生かす、殺さない、主張する、という部分だと思います。すごく判りやすい。論点がはっきりしたものを提示してくれる。

中は淡いバニラクリームにあっさりした味わいのシャンティー、苺。クリームがすごく美味しいですね、これ。高めな価格だけのことはある味です。

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Park Hyatt Tokyo Pestry Boutique(パークハイアット東京ペストリーブティック)

場所:東京都新宿区西新宿3-7-1-2 パークタワー2F
最寄駅:京王新線「初台」駅より徒歩4〜5分ほど
営業時間:11:00-21:00
定休日:無休
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西新宿/Park Hyatt Tokyo Pestry Boutique(4):キャラメル・バナナ・パリ・ブレスト

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○キャラメル・バナナ・パリ・ブレスト - Paris-Brest au Caramel Banane - (\600)

シュークリームのエントリーでも書いたように、シュー生地がとても美味しいんですね。どれだけ感動したかはシュークリームのエントリーでご確認のほどを。こちらのパリブレストは大型もあります。

アーモンドスライスを張り付けたフタ部分にはシュガーパウダーが振ってあります。シャンティーの下には似たバナナとキャラメル風味のクリーム。パリブレストって食べ辛そうなフォルムで(笑)、今までちょっと敬遠してたんです。ビッグマックの食べ辛さに絶対似てるはずだと思ってました。ニュアンス伝わりますか? 頬張ろうとした瞬間にウニュ〜ってなる、と。>←みたいな。

でも、パークハイアット東京ペストリーブティックのパリブレストは、食べ辛さを感じさせないでくれました。おかげで、ちょっと苦手意識が遠のきましたよ(笑)

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Park Hyatt Tokyo Pestry Boutique(パークハイアット東京ペストリーブティック)

場所:東京都新宿区西新宿3-7-1-2 パークタワー2F
最寄駅:京王新線「初台」駅より徒歩4〜5分ほど
営業時間:11:00-21:00
定休日:無休
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