成田空港第一ターミナル4F。21時55分、AF277便。成田発シャルル・ド・ゴール行き。このフライトを担当するフランス人機長は、これがラストフライトとなる退役軍人。着陸の際は、機内で拍手が起こった。
初めての海外。初めての飛行機。初めてのパリ。全距離10172km。午前4時半。閑散とした静かなシャルル・ド・ゴール空港。14時間もの長旅を経て、ようやく到着。もうここからは、周囲で日本語が飛び交うことはない。少なくとも同行者とやりとりする以外は。
準備が十分だったかどうかは判らない。でも、もうここに来てしまった。あとは10日間どうなるか、なるようにしかならないだろう。十分楽しむことにしよう。それにしても、エコノミークラスって、あんまり座席の背もたれが後ろに下がらないもんだな……。まともに寝れなかった。随分と疲れてしまった。
パリにも自動販売機があった。お札が使える自動販売機は結局見かけなかったから、多分ないのかも知れない。東京にいる感覚だと、千円札を小銭に崩したい理由で自動販売機の前に立って美味しくないコーヒーを選ばなきゃいけないが、パリだとコーヒーを飲むにはキャフェに入らないといけない。トイレもそう。公衆トイレは確かにあったけど。
そういえば、パリへ行く直前、新宿島屋のそばの自動販売機でコーヒーを買ったら「2222」のゾロ目が出て当たった。自動販売機で当たるなんて、すげえ久しぶり。なんかもう嬉しくて「パリ行く前にコーヒーが当たるなんて、幸先良過ぎだろ!」って夢中で写メ撮ってたら、いつの間にか点滅ランプが消えてて、その後ウンともスンとも言わない。どこ押しても、ジュースとか全然出てこない。どうもさっさと選んで押さないとダメらしい。「……消えるか普通?」って思った。
漁り火を見送ってるんじゃないんだからさ。ケータイかざした右手の言い分も聞いてやってください。
まあ、どっちに価値があるかと言えば、当たったということの方が嬉しくて、当たって手に入れたもう一本を飲んで美味しかったとは多分思わなかっただろう。そう、もう一本飲むなんて、本当は大した問題じゃなかったんだよな……。
それはさておき、外はまだ真っ暗。これからRERのB線に乗ってパリ市内に入り、今回の宿、"ホーム"となるカルチェ・ラタン。モベール・ムチュアリテを目指した。