2006年09月08日

調布/Salon de The CERISIER(5):フィリップ・ブルゴーニュ

サロン・ド・テ・スリジェで買ったケーキの最後はチョコ系。シャンティーとカスタード、生地を愉しむ2品と、夏場でも味わえる栗系、ムース系。今回は万遍なく選びました。スリジェのケーキはとても良い材料を使い、上品に仕上げたケーキという印象です。ほとんどハズレがなく、どれを選んでも一定以上のレベルのケーキを食べる事ができるのではないでしょうか。

そして、外観がとても絵画的な佇まいであるという点。以前、NTV『どっちの料理ショー』のデザート対決に鎧塚シェフと出ていた時に、ケーキ(の新作)を作る時にはキャンバスに向かわれるという映像を見て、それを思い出してなるほど合点が行きました。確かに絵画的な佇まいなんです。絵としてまず美しい。お皿に盛られたり、乗せられた状態を含めての存在感があるというか。今回のようにテーブルに直接置くのではなく、例えば白いお皿に乗せた時に、スリジェのケーキの美しさがより際立つと思います。大体のケーキはそういうものかも知れませんが…。

こういうアプローチに関しては、自分は基本的に賛成です。出す解へのアプローチには論理的な側面もあるでしょうが、芸術的側面も重要でしょう。ケーキであるゆえに。実は結構手が込んだ味付けを随所に施しているのだけど、見た目の無駄の無さからは想像できないものがありますね。モンブランの側面にあったチョコプレートは正直不要じゃないかとは思いましたが(笑)

ただ、品良くまとまり過ぎてる感もあるにはあります(自分にはそういう印象がありました)。一つだけものすごくトンガってるといったようなケーキもなく、飾っておけるような感じのものばかり。それらも含めて絵画的なんですが、味は上々です。絵に描いた餅ではなく、キャンバスからちゃんと出てきています。飛び出すケーキです(笑)

ですから、後ひとつ。何かいい意味での「裏切り・背徳」が欲しいですね。ちょっと白的過ぎるような気がするんです。もっと黒的なものもあっていいと思います。黒スリジェが。

時に粗雑で、荒々しくさえある、野心的な何か。洗練という名の汗を掻いて水を循環させるエクササイジング。あるいは土着的な何か、かも知れません。

salondethe_cerisier_philippe_bourgogne.jpg


○フィリップ・ブルゴーニュ - Philippe Bourgogne -(¥399)

フィリップ2世(ブルゴーニュ公)の名を冠したケーキ。

上部には赤と黒のすぐりが一粒ずつ。表面をグラサージュしたショコラビスキュイの内側にはガナッシュが。最下層にも洋酒の効いたすぐりがタップリ入ってます。チョコだけだとかなり重かったかも知れない印象が、すぐりの酸味で、それまでの濃厚な食感に生まれ変わった息吹のような変化がありました。チョコの扱いには定評のある和泉シェフだけに、さすがの一品。

そして、アメリといいモンブランといい、ツブツブ感を非常に大切にしているなと、どのケーキを食べても感じました。やっぱりツブツブ感はいいですね。自分も和泉シェフと同じ70年代前半生まれ、ツブツブ(ジュース)世代といっていいので、ここらへんには非常に敏感にならざるをえません(笑)

全体的に落ち着いた、いやむしろ非常に濃厚なトーンなんだけど、すぐりの酸味でキュっと締まってる印象を与える、夏場でもイケるチョコ系ケーキでした。

-----------------------------------
Salon de The CERISIER(サロン・ド・テ・スリジェ)

住所:調布市小島町1-35-8
最寄駅:京王線「調布」駅北口下車(パルコ側)、左へ徒歩2分
営業時間:10:00-21:00
定休日:水曜日(祝日の場合、営業)
-----------------------------------
タグ:チョコ
posted by 照乃芯 at 01:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | サロン・ド・テ・スリジェ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月13日

調布/Salon de The CERISIER(6):カサノヴァ

salon_de_the_cerisier_casanova.jpg


○カサノヴァ - Casanova - (¥472)

4月中旬に久しぶりにスリジェへ行きました。2年ぶりくらいになります。このカサノヴァは昨年出た新作です。基本ベースはシブースト。丸いシュクレ生地で焼き上げたシブーストも大好きですが、こういった長方形にカットされたクラシックなシブーストも好きです。

しかし、外見はクラシックな趣を保ちながらも、パッションフルーツ風味のシブーストクリームの下にはココナッツ、マンゴーのピュレやバナナとパイナップルの果肉が入っているという、古典をベースに進化させたシブーストになっています。ちょっと早い夏向けのお菓子という印象です。こうしてブログに載せてるのは6月中旬だから丁度いいけど、食べたのは4月中旬なんです。

上には焼き目を付けたバナナのスライスが2片。チョコスティックが1本。シブーストという一つのお菓子の中で、いろんな顔が現れますね。爽やかな酸味・甘味が楽しめます。デコポンを合わせたり(デフェールのシブースト)、グレープフルーツを合わせたり(エーグルドゥースのシブースト)、酸味の艶やかな果実を合わせたシブーストだと、梨やリンゴを合わせるシブースト(あるいはタルト・ペイザンヌ)よりも現代的な感じがしますね。

ちなみにカサノヴァっていう人は、いろんな職業を持ち続け、ギャンブル・コスプレ好きで、脱獄経験まである(また特異で多種多様な女性・男色遍歴がある)、奇妙奇天烈な珍人物です。

-----------------------------------
Salon de The CERISIER(サロン・ド・テ・スリジェ)

住所:調布市小島町1-35-8
最寄駅:京王線「調布」駅北口下車(パルコ側)、左へ徒歩2分
営業時間:10:00-21:00
定休日:水曜日(祝日の場合、営業)
-----------------------------------
posted by 照乃芯 at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | サロン・ド・テ・スリジェ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

調布/Salon de The CERISIER(7):タルトレット・オー・フレーズ

salon_de_the_cerisier_tartelett_aux_fraises.jpg


○タルトレット・オー・フレーズ - Tartelett aux Fraises - (¥472)

サロン・ド・テ・スリジェに前回訪問したのは2年前の夏。ムースケーキである「アメリ」がユルルと溶け出しかけている暑い週末の昼下がりに、代々木公園で食べたのを思い出します。若気の至りでした(笑)

サロン・ド・テ・スリジェのタルトレット・オー・フレーズは、苺の上にややモッチリ感に比重があるイタリアン・メレンゲが盛られています。中はカスタード、タルト生地はかなり薄めです。そして周囲にはパイクラムがまぶされています。スリジェってタルト生地は薄めが多いような気がしますね。個人的にはもう少し厚めの方が好きです。タルトなので、やはりクレームダマンドと粉を食べてる厚さ・充実感がもっと欲しいと思いました。

メインはカットされた小粒な苺。472円の小振りなタルトレットにしては、苺にやや物足りなさを感じてしまい、ちょっと高いなと。……いや、高いなっていうより、何と言うのかな、もう少し味が大きくあれば…というか、苺の存在感が妙に小さく感じられてしまいました。非常に上品ではあるんですけど。育ちが良すぎる感、があるというか。

ただ、ナパージュではなく、きちんと苺ジャムが塗られているところは嬉しいポイントでした。ここはさりげなく大事なポイントかと。ただ、それを差し引いても、若干物足りなさを感じました。

小振りなタルトレットですが、スリジェのお菓子らしく品が良く、美味しかったです。とはいうものの、味が全体的に小さいかな、とも感じました。個人的にはアン・プチ・パケのタルト・フレーズのような感じの方が好感を抱きます。もし大型ケーキで食べることができたら、充実感が増してきそうな予感がしました。

-----------------------------------
Salon de The CERISIER(サロン・ド・テ・スリジェ)

住所:調布市小島町1-35-8
最寄駅:京王線「調布」駅北口下車(パルコ側)、左へ徒歩2分
営業時間:10:00-21:00
定休日:水曜日(祝日の場合、営業)
-----------------------------------

タグ:タルト
posted by 照乃芯 at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | サロン・ド・テ・スリジェ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

調布/Salon de The CERISIER(8):ガトー・ダルザス

salon_de_the_cerisier_gateaux_dalsace.jpg


○ガトー・ダルザス - Gateaux d'Alsace - (¥失念)

ケイク・ルージュを買おうと思っていたけど、やはり人気のお菓子。あいにく売り切れとなっていたので、代わりにガトー・ダルザスを買っていきました。いくらだったかな。

パウンドケーキって言うべきなのか、焼き菓子というべきなのか。今の段階では自分では判断がつかないので、とりあえずここではパウンドケーキとして見ることにしました。

その、ガトー・ダルザスとは。アルザス産オー・ド・ヴィーを使ったクレームダマンド生地の中にはナッツ類がゴロゴロ入っっています。土台はしっかりした硬めのシュクレ生地。一年間キルシュに漬け込んだフルーツのケーキです。オレンジ、いちじく、アプリコット、プルーム、周囲にはアーモンドスライスです。バニラスティックも一本乗っています。

そして、漬け込まれたフルーツの一つ一つが綺麗ですね…。

プチっと弾けるいちじくのツブツブを、
プリっと噛み切るアプリコットを、
ホロっと溶けてゆくクレームダマンドを、
サクっとしたシュクレ生地を、

一口噛む「たび」に、アルザスの土臭さ、郷愁を感じさせてくれます。
アルザスには一度も行ったことがないんですが。

ないけど、でもホロっと懐かしくさせてくれる。遠くへいざなってくれる。田園風景を走り抜ける機関車の汽笛の音、咳き込む蒸汽が空に浮かぶ白い雲に滲んでゆく。日本にいても、日本のどこかで見覚えのある情景が、頭の片隅を駆け抜けてゆく。

どこをとっても、一つ一つの味を噛み締めさせてくれるケーキ。今まで食べたスリジェのいくつかの生菓子よりも、このガトー・ダルザスの方が自分には強烈な印象を残しました。

こんな時こそ、美味しいお茶を入れたくなります。「たび」の傍らにはいつもお茶が添えられているものですよね。このお菓子は非常にオススメの一本です。

salon_de_the_cerisier_gateaux_dalsace2.jpg


-----------------------------------
Salon de The CERISIER(サロン・ド・テ・スリジェ)

住所:調布市小島町1-35-8
最寄駅:京王線「調布」駅北口下車(パルコ側)、左へ徒歩2分
営業時間:10:00-21:00
定休日:水曜日(祝日の場合、営業)
-----------------------------------
posted by 照乃芯 at 01:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | サロン・ド・テ・スリジェ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。