今回は代々木上原から小田急線に乗って「和泉多摩川」で下車。この駅は急行は停まりません。次の登戸まで急行に乗って行ってしまって、各駅で折返すか、成城学園前で各駅を待つかしてください。
到着後、改札を出ると、東口と西口になってるんですが、ひとまず階段を降りて東口から出ると見せかけて後ろを向くと南口の狭いスローブがあるので、そこを降ります。モスバーガーの横ですね。その南口から出て、道幅の狭い商店街を進みます。途中、一件のパティスリー(Patisserie MISAKI)がありますが、ひとまず先へ行きましょう(笑)
その商店街を抜け切ったら右に折れ、銀行の横を左へ。突き当たりにある野菜の無人っぽい直売所のところをを右に曲がってまっすぐ。まさかこのお店かな…と恐る恐る覗いてみると、まさにそこがプレ・ドゥ・ラ・リヴィエールでした。
…ぐっ、ち、小さい。扉を開けてすぐにショーケース。前に立ったらもう誰も入ってこれません。右のわずかなスペースに焼き菓子があり、細い椅子がありますが、まあ気休めでしょう(笑)
お店は矢代シェフが一人で切り盛りなさっています。普段は厨房にいらっしゃいますが、大丈夫です。入り口の扉を開けたらカランカラン、って音が鳴るので、矢代シェフの耳にすぐ届きます。
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というわけで、以下コメントです。よろしく哀愁のカサブランカ。

○ミルフィーユ - Mille Feuille -(\367)
大きさは、小振りです。レピキュリアンのミルフィーユをイメージしていただければ、ほぼ正解です。いや、若干大きいかな。といっても微々たるものでしょう。特に装飾はなく、ノーマルなプレーンタイプですね。パイ生地は、上面だけですが、しっかりとカラメリゼされてあります。
カスタードの濃さはまあまあ。すごく濃いわけではないですが、バニラもほどよく効いてるし、色は濃厚な雰囲気。

○ポム・ド・テール - Pomme de Terre -(\367)
名前の意味は「じゃがいも」。ジャガイモを使ったホワイトチョコとシャンティーのケーキです。じゃがいも、というところが非常に興味をそそられました。珍しいし、面白い。ネームカードに「じゃがいも」の文字を見つけた瞬間にピンときて購入を決定しました。
…そういえばラ・プレシューズにもイモを使ったパタート・ドゥースというケーキがあります。あちらは「じゃがいも」ではなく「さつまいも」を使っています。パタート・ドゥースも自分にはスマッシュ・ヒットでした。
ラ・プレシューズのパタート・ドゥースは「さつまいも」ですから、ホワイトチョコはあくまで脇役、甘さは「さつまいも」に依るところが大きいケーキです。しかし、プレ・ドゥ・ラ・リヴィエールのポム・ド・テールは「じゃがいも」。ジャガイモ自体には特に甘みはないですから、この場合「イモ」の食感にフォーカスしたんだと思います。甘さはホワイトチョコムースが請け負う、という役割分担でしょう。
上にホワイトチョコのスライスがまぶされていて、その下に控え目なシャンティー、ジャガイモは薄くスライスされています。マッシュポテトにせずに食感を残すようにした辺りがナイス判断。土台はビスキュイです。ちょっと歯応えのあるクルミっぽい、一瞬粒々でシャリっとした食感焉B
じゃがいもはさほど滑らかにしてある風ではなく、量はさほど多くないけど食感が楽しめます。この舌触りが「じゃがいも」なんだなと思います。滑らかにしてしまう事で「じゃが」らしさを消さなかった矢代シェフはナイス判断だと思いますね。何かを伝えようとしているのが判る。こちらを選んだのはアリだと思います。むしろ、こういう事してくれる人を僕は待ってました。
「さつまいも」はすでにスイートポテトで洋菓子デビューを飾り、その存在を認知されている分、何となく可愛らしさすら伴った役得な印象があります。スイートポテトという肩書きなら都会でも容認される。が、「じゃがいも」はやや不格好で洗練されたイメージはありません。どこか田舎っぽいし、土着的な雰囲気。
現代のケーキ、において「じゃがいも」は「さつまいも」に対して少し分が悪い。ように見えます。
……しかし、僕は「じゃがいも」が好きです。そして、「じゃがいも」を選んだ矢代シェフの勘、あるいは感覚、といった部分に対して大いに敬意を表したい、今そんな気分です。僕の予感が間違いでなければ、このお店はかなり見所のある洋菓子店じゃないかと思っています。矢代シェフはフランス菓子を愛してらっしゃると。洗練と土着の間のジレンマがある。
その訳は今度エーグルドゥースに行った時にここで説明したいと思います。
とにかく、このケーキはプレ・ドゥ・ラ・リヴィエールの極私的一押しです!

○シャンプノワーズ - Champenoise -(\420)
シャンパンのムースを使ったロールケーキですね。実はロールケーキはあまり得意ではなく、これを克服できるかどうか見極めるために、GW開けあたりからロールケーキシリーズを開始しようかと思っていました。
ネームカードには「お子様にもだいじょうぶ」と添え書きされています。このケーキは420円ですが、多分このお店の中では一番高い部類に入るケーキです。これ以上高いケーキは、あったかどうか判らなかったくらい。家元イル・プルーでは「トランシュ・シャンプノワーズ」として出されているケーキ。見た目も一緒です。あちらは682円ですか。うわー高いなー。味はどうなんだろ。近いうちに行ってみましょうか。
さて、ケーキの説明。バタームースの内側にスポンジ、その内側、つまり中心にシャンパンムース、ムースの中には煮たリンゴか桃かな、それとフランボワーズですね。土台にはシャンパンを染み込ませたビスキュイですか。外側はチョコレートで厚めにコーティングされてあります。
シャンパンの味は決して強くなく、これなら本当に子どもでもイケますね。家元イル・プルーのトランシュ・シャンプノワーズは割と強めに効いてるらしいです。これも食べ比べをしておこうかな。
ちなみに、このケーキは自分が買った時に最後の一個でした。ちゃんと支持されてるケーキなんだなと思って安心しちゃいました。
○いちごのショートケーキ - Short Cake -(\367)
ミルフィーユの次に目当てにしていたケーキ。このいちごの風味がいいんです。いちごを感じさせてくれるショートケーキです。
スライスしたイチゴのコンポートが上面に隙間なくビッシリと敷かれています。その上からいちごジャムがかけられていますね。すぐ下はシャンティー、スポンジは2層ですが、上部のスポンジは割と分厚いですね。それぞれ上面にシロップが打ってあります。
一口食べると、やっぱり上面のいちごの存在感がしっかりと広がってきます。昨日(4/1の土曜日)、フラウラで買ったショートケーキもいちごの存在感は強かったですが、最初の舌触り、あるいは食感、風味という意味ではプレ・ドゥ・ラ・リヴィエールのショートケーキの方が上かも知れません。ただシャンティーの質はフラウラが上。とはいえ、いちごの風味を愉しむのがショートケーキだという信念に基づくなら、シャンティーの質における両者の差はまず気にならないレベルじゃないでしょうか。
あっちが483円、こっちが367円。いちごメインのショートケーキ好きとして悩める問題です。自分の最寄りの代々木上原駅から210円で和泉多摩川、あるいは渋谷へ徒歩で出て東急バスで210円のフラウラ。交通費はどっちも変わらないんですが、どっちもいちごの主張は面白いんです。種類の豊富さでいえばフラウラに軍配が上がりますが…うーん、この次食べられると想像したら……プレ・ドゥ・ラ・リヴィエールかな? ずっと低コストなんでリピート間隔はこっちの方が短いでしょうね。
とにかく、店のファサードが色あせてるとか、そもそも小さいとか、台風が来たら吹き飛ばされそうだとか(笑)、そういう印象は一旦脇に置いといて、こちらのケーキを心の隅でいつも覚えておきたい、そんな印象です。
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(今回の総評)
日曜日は雨が降ったせいで、ここのケーキを多摩川の土手で桜をバックに撮影し、そのまま土手を歩いて二子玉川まで散歩する、という計画はものの見事に頓挫してしまいました。
しかし、その悪天候の中、足を運んで大正解でした。一ヶ月〜二ヶ月のリピート、セレソン(ローテーション)入り決定です。今回選んだ4つのケーキはどれもハズレがありませんでした。これは大きいですね。あんだけしか種類がないのに、4つとも美味しかったというのは、奇っ跡っ、だねっ(笑)←このネタやるピン芸人の名前が思い出せません。
値段もほぼすべて367円で統一されている感じでいいっすよ。ショーケースが小さいんで、ホールケーキで食べられるのはどれとどれなのかよく判らないんですが、今回買ったケーキはどれもホールで食べたくなりました。
素晴らしい洋菓子店の多くは東京23区に集中している事が多いですが、この多摩川の川べりに、こんなに素敵なパティシエがいる事を忘れてはいけないと思いました。
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プレ・ドゥ・ラ・リヴィエール(Pres de la Riviere)
場所:東京都狛江市猪方3-28-19
最寄駅:小田急線「和泉多摩川」駅南口より徒歩6分
営業時間:10:00-20:00(日曜・祝日は〜19:00)
定休日:木曜
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