2006年02月10日

目白/Aigre Douce(エーグルドゥース):ケーキ紹介インデックス

aigre_douce_index.jpg

このブログに掲載されているエーグルドゥースのケーキの記事を一覧にしてまとめているページです。

「生菓子」「ホールケーキ」「ケーク(パウンドケーキ)」「焼き菓子・サブレ」「コンフィチュール」「ショコラ菓子」で分けています。表記順はすべて50音順になっています。

個々の記事内にある価格は購入当時のものです。必ずしも現在の価格と一致するわけではないので、ご了承を。ただ、どう見ても明らかに間違ってる、あり得ない、考えられない、信じられないという価格表記ミスは、発見次第速攻で訂正いたします。

生菓子(プチガトー)
アルメリア - Armeria -
イヴォアリンヌ - Ivoirinne -
ヴィオレッタ - Violete -
ウィリアム・ショコラ - Williams Chocolat -
ヴェール・エ・ノワール- Vert et Noir -
エクレール・ピスターシュ - Eclair Pistache -
エラブル - Erable -
カスレット - Casolette -
キャネル・フレーズ - Cannelle Fraise -
キャラメル・オランジュ - Caramel Orange -
クレーム・キャラメル - Crème Caramel -
クレーム・ドゥ・フロマージュ - Creme de Fromage -
コンポート・ドゥ・マロン - Compote de Marron -
サントノーレ・オ・パンプルムース - Saint honore au Pamplemousse -
シシリアン・ショコラ - Cicilien Chocolat -
シブースト・オー・パンプルムース - Chiboust aux Pamplemousse -
シャルロット - Charlotte -
シャルロット・フランボワーズ - Charlotte Framboise -
シャンティー・キャラメル - Chantilly Caramel -
シャンティー・フレーズ - Chantilly Fraises -
シュー・ア・ラ・クレーム - Chou à la Crème -
タルトレット・オー・フランボワーズ - Tartelette aux Framboise -
タルトレット・オー・フレーズ - Tartelette aux Fraises -
タルトレット・シトロンヴェール - Tartelette au Citron Vert -
ターンドル - Tendre -
ティラミス・オー・フィグ - Tiramisu aux Figues -
ドゥース・フレーズ - Douce Fraise -
トランシュ・ピスターシュ - Tranche Pistache -
トルシュ・オ・マロン - Torche au Marron -
ノワール・ラフィネ - Noire Raffine -
フォレ・ノワール - Forêt Noir -
フラン・ア・ラ・バナーヌ - Flan à la Banane -
フレジェ - Fraisier -
フレジェ(2009年アレンジ版) - Fraisier -
フレッシュール・ショコラ - Frâicheur Chocolat -
プログレ・ノワゼット - Progres Noisettes -
ポルト・ドゥ・ヴェルサイユ - Port de Versailles -
ポロネーズ・ア・ロランジュ - Polonaise à l'Orange -
ミルフゥーイユ - Mille Feuille -
ムラング・ア・ラ・フランボワーズ - Meringue à la Framboise -
ラクテ・フランボワーズ - Lactée Framboise -
レガル・カフェ - Regal Café -

生菓子(ホールケーキ・タルト)
ガレット・ショコラ・フランボワーズ - Galette Chocolat Framboise -
シャンパーニュ・ア・ラ・フレーズ(クリスマス・アントルメ) - Champagne à la Fraise -
ソレイユ - Soléile -
タルト・オ・フリュイ - Tarte aux Fruits -
タルト・オ・フレーズ- Tarte aux Fraises -
タルト・オー・ペーシュ・ドゥ・ヴィーニュ - Tarte aux Pêche de Vigne -
ドゥース・フレーズ(クリスマス・アントルメVer.) - Douce Fraise Christmas Entreme -
キャラメル・ショコラ(アントルメ) - Caramel Chocolat (Entreme) -

ケーク(パウンドケーキ)
オラマンディエ - Oramandie -
カトル・カール・オー・パンプルムース - Quatre-Quarts aux Pamplemousse -
黒ビールとマールの2種ケーク(黒ビール)
黒ビールとマールの2種ケーク(マール)
ケーク・ア・ラ・ヴァニーユ - Cake à la Vanille -
ケーク・ア・ラ・バナーヌ(ホールタイプ) - Cake à la Banane -
ケーク・オー・フリュイ - Cake aux Fruits -
ケーク・オー・ジャンジャンブル - Cake aux Gingembre -
ケーク・オー・プルーノー - Cake au Pruneau -
ケーク・オー・マルコナ - Cake aux Marconas -
ケーク・オー・マロン・プレッセ - Cake aux Marrones Presse -
ケーク・キャラメル - Cake Caramel -
ケーク・ケベコワ - Cake Quebecois -
ケーク・サフラン - Cake au Safrane -
ケーク・シトロン - Cake Citron -
ケーク・ショコラ・オランジュ - Cake Chocolat Orange -
ケーク・ショコラ・フランボワーズ - Cake Chocolat Framboise -
ケーク・バナーヌ(カットタイプ) - Cake Banane -
ココ・キャラメル - Coco Caramel -
ジュール・エ・ニュイ - Jour et Nuit -
ノワゼット・ショコラ - Noisettes Chocolat -
ヴァレンシア・グラッセ - Valencia Glacée -
パン・ド・エピス - Pain de Épice -
ピスターシュ・ア・ラ・フレーズ - Pistache à la Fraise -
ブラジリアン - Brazilien -
冬のケーク・オー・フリュイ - Cake aux Fruits d'Hiver -
ポンム・アールグレイ - Pomme EarlGrey -
ミルティーユ・シトロン - Myrtille Citron -

タルトレット・焼き菓子・サブレ
アルデッシュ - Ardeche -
オーヴァル・ノワール - Oval Noir -
ガトー・バスク - Gâteau Basque -
ガレット・ア・ロランジュ - Galette à l'Orange -
ガレット・ショコラ - Galette Chocolat -
ガレット・デ・ロワ - Galette des Rois -
ガレット・ブルトンヌ - Galette Bretonne -
クグロフ・ショコラ - Kouglof Chocolat -
タルトレット・ア・ラナナス - Tartelette à l'ananas -
タルトレット・ア・ラ・ピスターシュ・エ・グリオット - Tartelette à la Pistache et Griotte -
タルトレット・ア・ラ・ペーシュ - Tartelette à la Peche -
タルトレット・ア・ロランジュ・エ・オ・パンプルムース - Tartelette à l'Orange et au Pamplemousse -
タルトレット・オ・カシス・フランボワーズ - Tartelette aux Cassis Framboises -
タルトレット・オー・ザブリコ - Tartelette aux Abrico -
タルトレット・オー・フィグ - Tartelette aux Fig -
タルトレット・オ・ポワール - Tartelette aux Poires -
タルトレット・オ・ノア - Tartelette aux Nois -
バナーヌ・ココ - Banane Coco -
パン・ド・ジェンヌ - Pain de Gênes -
フリアン - Friand -
マドレーヌ - Madelaine -
マンディアン - Mendiant -
メレンゲ菓子 - Meringue -
モワルー・アマンド・フレーズ - Moelleux Amande Fraise -
モワルー・カフェ - Moelleux Café -
ヤクァス - Yakas -

コンフィチュール
フランボワーズ・アールグレイ - Framboise Earlgrey -

ショコラ菓子
posted by 照乃芯 at 23:37 | Comment(0) | エーグルドゥース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月11日

目白/Aigre Douce(1):ミルフゥーイユ、タルト・オー・フリュイ

目白のエーグルドゥースに行ってきた。先週、ガトー・ド・ヴォワイヤージュの「イチゴのタルトレット」を食べた時、次に食べるタルトの美味しいお店はここしかないと思って、ハナから決めていた。フルーツをたっぷり使ったタルトなら胃ももたれないだろうという事で。

しかし、いろいろ調べていたらミルフィーユも美味しいという評判。…実はミルフィーユも好きで、先週からどこへ買いに行くかずっと考えてた。

まずピエール・エルメのドゥ ミル フィーユからいってみるべきなのか、それともラ・プレシューズへいってみるべきか。

要するに、東京で食べられるミルフィーユとしては最高かもしれない味にまず最初に触れてみるか、あるいはひょっとしたら日常的に気軽に買い行けるお気に入りの店になるかもしれないと予感させる店へそれを確かめに行くか。そういう選択でした。と、そこへ春のような爽やかな風が吹いたわけですよ。エーグルドゥースです。

新宿へ出て、山手線で一路目白へ。目白駅の出入口は一つ。目白駅前の改札を出て外へ出ると、目白通りに出ます。信号を渡って、右へ行けば鬼子母神のある雑司が谷。エーグルドゥースへ行くには目白通りを左(下落合方面)へしばらく歩きます。10分あるかないか。

通り沿いの店を左右に目配せしながら歩くと、一つの特徴にふと気付きます。

…この辺りは建物の背が低くて、恵比寿から白金台辺りで見られるような、まだ昭和初期から戦後の頃を彷佛とさせるような雰囲気が未だに残っている場所なんです。古いままの建物に新しい店が差し込まれているような感じ。下落合三丁目のバス停を過ぎて更に数10mくらい行くとエーグルドゥースが見えてきました。

中には割と多くのお客さんがいて、4席ほどある店内のテーブルでイートインしてるお客さんもいました。生菓子ももちろんですが、全体的に焼き菓子の方がビジュアル的に印象に残った感じがしました。ショーケースを覗いても、生菓子ではあるけれど、焼きの部分が堪能できそうな雰囲気の菓子といった感じ。焼き菓子が美味しいパティスリーって生菓子でもイケそうな安心感があります。

今日の目当てのミルフゥーイユ、タルト・オー・フリュイはあるでしょうか。ショーケース左奥にありました。…ミルフゥーイユというんですよね、ここのミルフィーユは。呼び方が。オーダーをとってもらってる時に、頑張って「ミルフゥーイユ、と…」って言ったんですけど、店内のBGMによって見事に掻き消されたようで、聞き直されてしまいました。…(〜_〜;)

二度目はハッキリと「ミルフィーユ」って言いました_| ̄|○
だからオレ、ヘタレです!
でも、さすがにちょっと恥かしかったので、
できれば一回で聞きとってください(>_<)

さてミルフゥーイユ。表面をキャラメリゼしたパイ生地の間にはすごく優しいカスタードが挟んであって、くどくなく、安心して食べられる。クセがなく、すっきりしています。ピエール・エルメを回避したのはこの点。エルメのミルフィーユはナッツペーストやバターが練り込まれているらしいので、ひょっとしたら(胃に)重たいんじゃないかという不安がありました。値段も高いし、もし自分の気に入らなかったら、今後、他の店で積極的にミルフィーユを買おうとしなくなってしまうんじゃないかという不安もあって。

その点、エーグルドゥースのミルフィーユはあまりうるさくなくてよかったです。割と大きめで食べ応えもアリ。甘いものが好きな男性にはむしろ有り難い。とりあえずここで最初にミルフィーユを味わっておいたのはよかった。ここが基準になるかも知れないけど、できればあんまり上とか下っていうんじゃなくて、もちっとフラットにしたいというか、自分の中でマラソンの先頭集団を形成したいなという感じです。気になるお値段は¥370です。

P2114101.jpg

そして今日のメインであるタルト・オー・フリュイ。フルーツのタルトですね。ネットでいろいろ調べていると、イヴォアリンヌとかそれ以外のケーキについてはよくレビューされているんですがタルトに対するレビューが驚くほど少ない。語るまでもなく美味しいから?

ま、、実際に自分で食べればいいじゃんという事で落ち着きました。店に来てるし。

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7種類くらいのフルーツの中にカスタードが入っています。とにかく綺麗です。生地は3cm以上あるしっかりとした作り。分厚いですよね。これが気に入ったんです、実は。割と薄めの生地にたっぷりカスタードが載っていてその上にフルーツ、というタルトはどうも気分が乗らないんですよね…。ピザ(も随分長いこと食べてないけど)なんかも、生地は分厚い方が好きなんで。関係ないか。ていうか、フルーツの持ってる酸味がカスタードに干渉され過ぎてしまってバランスが悪くなってるように思えるので。カスタードが前に出過ぎなタルトというのは、なんとなく敬遠しちゃいます。

かといって硬くてどうしようもないかといえば、んなこたぁない。更にフォークを入れてもボロボロと崩れる事がなく、味も重くなくていい。しっかりとした舞台(生地)の上で、酸味と甘味が主張し過ぎない調和を成立させていました。おかげで全部綺麗に食べ切ってしまいました。…以前別の店で食べたタルト生地は、残念ながら少し冷え過ぎていて、長く冷蔵した時の匂いってありますよね? あれがちょっと気になったんです。美味しいタルトに出逢えたのは本当によかったです。

もし売ってなかったらタルトレット・オー・フレーズ(イチゴのタルト)にしようと思っていたのですが、タルト・オー・フリュイが買えてよかった。今まで食べたタルトの中では、現段階では暫定一番の評価をしておきます。値段は¥1900でした。普通、ケーキが400円前後だから、タルト・オー・フリュイについてはしょっちゅう買うという値段ではないし、ボリュームもあるから毎月のように食べるわけにはいかないんだけど、4つある季節に応じて、春夏秋冬、季節ごとにこのタルトを買いに足を運びたいですね。それ以外のケーキや焼き菓子は、ちょくちょく足を運ぶ事になりそうです。

それから、初めてマカロンの実物を見ました。小さいとは聞いていましたが、マジで小さいっす。でも、他所の店のやつを写真で見た限り、エーグルドゥースのマカロンは少し分厚い気がしました。値段は¥320だったかな。ちょい失念。帰りに新宿伊勢丹のサロン・ド・ショコラを冷やかしにいった時にダロワイヨでマカロン見たらやっぱり小さかったっす。そういうメレンゲ菓子なんですね。


エーグルドゥース/新宿区下落合3-22-13(毎週水曜定休)JR山手線目白駅下車徒歩
posted by 照乃芯 at 20:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | エーグルドゥース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月19日

目白/Aigre Douce(2):シャンティー・キャラメル、イヴォアリンヌ、シャンティー・フレーズ、ドゥース・フレーズ

経過報告
前回訪れてから34日が過ぎた。まるで6ヶ月以上も足を遠のかせていたように自分には感じられる。出来るだけ多くの店を訪れる事はこれからも続けてゆくだろう。しかし、今僕の中で一番求めているのはやはりエーグルドゥースだと感じた。まだたった2回しか足を運んでいない事がどれほどの理由になろうか。


僕にとってのエーグルドゥースとは、チャーリィ・ゴードンにとってのアリス・キニアンだ。

僕にケーキ、いやフランス菓子の奥深さについてその一歩を触れさせ、教え、喜ばせ、苦しませ、そして導こうとしてくれている。初めてそれをこの手に触れた時から、僕はいつの間にか永遠が永遠であるように祈り、その永遠が一秒よりも短く僕の手に届く事を願った。その永遠が一秒よりも長く僕の手の中にある事を願った。それがとても美しいゆえに僕の手の間からすり抜けて欲しくなかった。

今自分が一番好きなものが何であるか、一番傍にいてほしいものが何なのか。今なら言える。この店は僕にとって一番だ。

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以下、コメントです。

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○シャンティー・キャラメル - Chantilly Caramel -(¥260)

クレーム・キャラメルの苦味が程よい。皮はしっかりしていて、大きさはラ・プレシューズやパリセヴェイユと特に変わらない感じ。

ただ、食べた時に「もし全部クレーム・キャラメルだったら少し飽きるかな…」と思っていたところ、突然違う味が現れてあっという間に広がっていった。これは何かと中を見たところ、シュー皮の中はかなりたっぷりとクレームが詰まっていて、実は表面に見えるクレーム・キャラメルの下に、バニラビーンズたっぷりのエーグルドゥースお馴染みのカスタードが入っていた。これはちょっと驚いた。

一緒に食べると、口の中にフワっと広がるキャラメルの苦味の中心から淡いカスタードの甘さが溶け入る。素敵なシュークリームでした。

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○イヴォアリンヌ - Ivoirinne -(¥400)

写真で見ていた限りでは、海岸の岩場などにありそうな巻貝っぽさを感じたのですが、実際の印象は、雪のかかった薪のようなメレンゲが幾つも表面を覆っているといったもので、かなり大振りなケーキです。中にはホワイトチョコムースとオレンジシロップを染み込ませたスポンジ。上部にはオレンジ。見た目、そして色の組み合わせからも判る、非常に爽やかなケーキですね。食べ応えは十分で、残りの2つを食べる前に少し休憩を入れたほどです。

…ただ、情けない事に、値段にやや自信がありません。¥420だったか¥400だったか…。もしかしたら下のシャンティー・フレーズと逆になっているかもしれません。合ってると思うんですけどね。

○シャンティー・フレーズ - Chantilly Fraise -(¥420)

苺が上にまるごと一個。ラ・ヴィ・ドゥースのフレジェを食べる前は「ショートケーキはいずれ食べ比べする機会を…」と考えていたのですが、もう手遅れ。すでに食べ比べを開始する事になりました(笑)

スポンジを間に挟んで二層になっている部分にはハーフカットされた苺がヘタを寸断した断面の方を表に向けて左右にたっぷりと並べられています。それが二層ですからボリュームは相当なものです。スポンジの各層にはシロップが打ってあり、一番下の土台となっている生地はとても薄く出来ています。

上から下へフォークを入れる時の手応えをしっかりと感じます。口に入れた時ではなく、フォークを入れる時からもうケーキを食べ始めているのだな、と。

更に、ホイップクリーム(クレーム・シャンティー)の味は意外な程軽くすっきりとしたものになっていて、あくまでシャンティーは主役(苺)を引き立たせる立場だと、役割をはっきりさせています。それはコンテンツに対するデザインの関係と似ています。できるだけ自己主張せずに、内容をうまく整理して視点をメインへと誘導させてくれる。引き算がしっかりとできたデザインだと言えます。要するにデザインとはこういうものであるという基本を見せてもらったように思いますね。非常に納得のいく設計です。

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ショートケーキに求めるもの

何故ショートケーキの食べ比べを考えたか。それは、こういう事です。どこかの段階でパティシエの道を志したシェフがキャリアをスタートし、その過程で多くの、ほとんどの人がフランスへ渡ってフランス菓子を学んで帰国するわけです。その後フランス菓子を日本人の舌にマッチするようにアレンジを重ねて高めてゆく人もいれば、フランス菓子のありのままを追求する人もいる。でも、どんなに優れた腕や才能を持っていても、やっぱり日本人であれば、どこかで日本人らしさのようなものが出てくると思うんです。遺伝子レベルで避けようのない事実として。白人がどんなにブルース(黒人音楽)を追い求めても黒人にはかなわないのと似たようなものです。

日本で生まれた苺のショートケーキは色使いや繊細な味から、まさに日本人らしいケーキだと思うんです。一見スタンダード過ぎるくらいスタンダードな、シンプル過ぎるくらいシンプルなケーキだからこそ、そこにパティシエの日本人としての個性が、嫌が応にも反映されてしまうのではないでしょうか。僕はそれが見たくて仕方ないのです。モンブランなども店によってまるで違ったりするからいずれシリーズをやりたいんですが。というわけで、しばらくショートケーキシリーズは続く事になります。ショートケーキ→モンブラン→ロールケーキといった感じで。

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かくして、ショートケーキのデザインにメスを入れた甲斐あって、とても素晴らしいショートケーキに巡り逢う事ができました。

先週食べたラ・ヴィ・ドゥースのフレジェと比べて格段にボリュームもあるし(ボリューム命っていうわけではないですよ)、値段も前者が¥399に対して後者は¥420。見た通り値段にさほどの違いはなく、苺の仕入値によって多少価格が変動する事を考慮すれば、これはもはや誤差と言っていいと思います。

aigre_douce_douce.jpg

○ドゥース・フレーズ(¥450)

このケーキは、実はショーケースの前で数秒の直感だけで決めたもの。当初はカスレットを買うつもりだったのに見たら一つしかなく、しかも偶然オーダーが同時になってしまった隣の若い女性に先を譲った直後にその最後の一個をオーダーされるというトホホな結果。まだ1時半だったんですが、さすがこのお店のスペシャリテだけあって売れるのが早い。「次に出来上がるのはいつですか?」と訊きかけたものの、もうすでに自分へのオーダーが始まってしまっていたので、とっさに選択。

ところがこの選択が幸運な事に良い結果をもたらしてくれました。

上面の説明をする前に、まず本体から行きます。幾つかの層が重なっていて、上からアールグレイ風味のホワイトチョコレートムース。次に苺のジャムがスポンジに染み込ませてあって、これはエーグルドゥース自家製のコンフィチュールでしょうね。その後にまたホワイトチョコレートムースなんですが、苺のジャムと接する側に何かシロップが打ってあります。一番下は、これは多分ダックワーズ生地なのかな。そこにも更に苺のジャムが塗ってあるんですね。非常に手が込んでいます。

さて、後回しにしたケーキ上面ですが、ここにはヘタのある一番面積の広い部分をスライスされた苺のコンポートが3枚、その横にあるのが最初はよく判らなかったんですが、シャンティーをさきほどのアールグレイ風味のホワイトチョコでコーティングしてあるんですね。その上に乗っているのはナッツのようでしたが、更に上からかけられているピンク色をしたソースについては判りませんでした。

ちなみに、幾層にもなっている本体の上部にあるムース部分もこれと同様コーティングの処理が施されています。手間暇がかかっています。このケーキも割と大振りです。¥450という事で、このお店のプチガトーの中では比較的高めに部類する価格設定ですが、これだけの大きさでこれだけ手間暇がかかっていれば特に文句はありません。妥当なところではないでしょうか。

幾層にも重なった味を愉しむケーキですが、決して判りづらさはなく、またアールグレイの風味が軽くて、口へ運んだ時に和らげてくれているように思います。それでいて苺の甘さはしっかりと効いています。食べ応えがある一品です。

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(今回の総評)
今年に入ってから精力的にあちこちのお店へ足を運んでいますが、やっぱりエーグルドゥースだけはあまり長い期間を置きたくないと思わせるお店として、自分の中で確固たる位置というものを占めつつあります。

前回、2月11日の土曜日に初めて行った時に買ったのはタルト・オー・フリュイとミルフゥーイユ。あの時は店内のBGMに負けて「えーと、ミルフゥーイユ。…と、」という言葉を思いっきり掻き消されてしまったんですが、今回は別に発音的に難解なものもなく、かつ心理的に羞恥心を覚えるものもなくですね(笑)、無事購入できました\(^^)\

今回はプチガトー4個で、そのうち3つはすでに購入を決めていたものだったですが、最後の一個ドゥース・フレーズだけは忘れそうな予感がしたので、説明も含めてメモってしまいました。お店に入ったのは1時ちょうどでした。入った時は結構満員状態でしたが、自分が会計を済ませる時はもう他にはお客がいない状況でした。

それにしても本当にシックで落ち着いたお店ですね。この辺って家賃は高いんでしょうか。このお店に簡単に通えるならここへ越してもいいと思うくらいです。今でもせいぜい20分ちょっとあれば通えますが、下落合や目白の人が羨ましい限りです。。

今回の来訪で固まった自分の中での評価は、このエントリーの冒頭に記した通りです。引用した外国人の名前は早川書房から出版されている『アルジャーノンに花束を』という作品に出て来る登場人物です。著者はダニエル・キイス。初めて読んだのは、もうかれこれ16年前になるでしょうか。今でもお気に入りの一冊として書棚に収まっています。

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エーグルドゥース

住所:新宿区下落合3-22-13
最寄駅:JR山手線「目白」駅改札前より目白通りを左へ5〜6分
営業時間:10:00-19:00
定休日:水曜日

posted by 照乃芯 at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | エーグルドゥース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月12日

目白/Aigre Douce(3):カスレット、ラクテ・フランボワーズ、クレーム・キャラメル、クレーム・ドゥ・フロマージュ、ケーク・キャラメル

日曜日の午後、エーグルドゥースに行ってきました。3回目です。もう完全に月一リピです。

…嬉しいんです。火曜日くらいからずっと嬉しかったんです。今日エーグルドゥースに行けるというのが、すごく嬉しかった。初めの2回がまだドキドキしたものだとすれば、3回目は、もう嬉しくて仕方ない。好きな女性に逢いに行くような気分。

といっても、品川でのんびりしてたら到着が4時になってしまうという自業自得エンターテインメント。

ところがその時間でもお客さんが結構いて、イートインスペースも満席でした。2卓しかないんですけどね。それでもほぼすべてのケーキが並んでいる安心感は、やっぱり嬉しい。コスト意識は大切だけど、「今から揃えても売れ残るから作らない、売り切れ御免」的な感覚のお店だと残念ですよね。ここはそうじゃないから嬉しいのです。

以前食べたドゥース・フレーズが綺麗に売り切れてましたが、その他のケーキ(レガル・カフェというケーキ)も最後の一個が売れると同時に沢山補充されていました。自分が店を出た後にきっと出来立てのドゥース・フレーズが並んでいた事でしょうね。

ちなみに、今月末の25日、26日、27日辺りが「勉強会」という事でお休みだそうです。27日はちょっと自信がないですね…。24日だったかな? あと5月2日も休みだったような。

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というわけで、以下コメントです。ちょっとヨロシク。

aigredouce_cassolette.jpg

○カスレット - Cassolette -(\420)

前回来た時に、女性のお客さんに譲ったために買えなかったエーグルドゥースのスペシャリテをようやく購入。

シュークリームがキャベツに例えられるならば、このカスレットはまるでジャガイモ。ジャガイモの皮を器にしたジャガイモのグラタン、といった雰囲気。上面をカラメリゼしたその中身にはキャラメル風味のバナナとカスタードがたっぷり詰まっています。カラメルに苦味があっていいです。ラム酒の風味もあります。

都会的に洗練されたフォルムを持つケーキもあるにはあるんですけど、こちらのケーキは洗練とは逆を行く、片田舎の畑の土臭さ、風の息吹、ママやおばあちゃんが作ってくれたオヤツのような家庭的な、生活の音が聞こえてくるようなケーキなんです。洗練に対して土着感のあるケーキと言えます。ここらへんがエーグルドゥースのたまらなく好きなところ。

さて実食。このケーキは他のケーキとは別に、スプーンを使って食べました。フォークで食べるのは無理がありそうな感カがしたんで。

中へ入れると、キャラメルでソテーしたバナナが顔を覗かせます。ザックリ感がいいですね。これをスペシャリテにする理由は、やっぱり土着、フランス菓子を伝えたいという部分からくるんでしょうね。それぞれははっきりした味ではあるけども、スタンダードでベーシックなケーキもあって、間口の広さを感じさせる。その一方で、洗練されたケーキも作る。そのバランスを組み合わせていくつかまとめて食べると、このお店の良さが強く感じられると思います。


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○ラクテ・フランボワーズ - Lactée Framboise -(¥450)

これは初めて見るケーキでした。非常に洗練された外見。最初はフレジェを買う予定だったんですけど、もう今季は終わったのか、たまたま今日はなかったのか、ショーケースには一つも無かったので、同じ値段のこちらのケーキを選択。チョコ系はそろそろいっとこうと思ってたところでした。

まず、しっかり焼かれた分厚いタルト生地に、濃厚なアーモンドクリーム、その中心にはツブツブ感の残るフランボワーズのジャムが入っています。上面にはアーモンドスライスがゴジラの背中みたいに刺さっていて、その上を全体にミルクチョコレートでアイシング。このチョコはどこのチョコを使ってるんですかね?

最上部には半分にカットされたフランボワーズが2片、その横に、より光沢のあるチョコソースがかかり、更に金箔が添えてあります。

…このフランボワーズのジャムがまた酸味が強くて美味しいこと美味しいこと! 口に入れた瞬間たっぷり濃厚であるはずのアーモンドクリームの甘ったるさを、ビシっとシャープに征するように口に広がるフランボワーズのジャム。すげえぇえぇえぇ!!!

上に乗ってるフランボワーズは別にそれほどね、気を引くようなものではないと思うのです。いいフランボワーズだとは思うんですけど、上に乗ってるのはあくまで装飾的というか。

むしろ、中にあるフランボワーズ・ジャムの個性がすごいんです。もうツブツブ。コンフィチュールは順番からいえば最後の方に回すつもりだったけど、ケーク・シリーズを除く焼き菓子を差し置いて先に手を伸ばしてしまいそうな予感。やっぱり「甘くて酸っぱい」お店なんだな。

一応このケーキはチョコ系っていう意味で直感を頼りに選んでみたわけですが、フランボワーズの使い方によっては、チョコとフランボワーズの組み合わせってこんなに感動させてくれるのか、と確認した思いであります。ここまでちゃんと酸っぱいってのは嬉しいね嬉しいよ。

あー、いいものをいただきました。この先もずっと食べていきたい一品です。これはオススメ。ススメます! フランボワーズ(withチョコ)が好きな人は一度いっとくべきかと。

ちなみに、タルト台の下の滑り止めとして塗ってあるジュレはアプリコットのものでした。なんかイイっすね、これ。エーグルドゥースで最初に食べたチョコ系がこんなにメガヒットするとは。

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○クレーム・キャラメル - Crème Caramel -(¥260)

低温で焼いた硬目のプリン。味は、正直普通です。ただ、最近のプリンはどこで見ても「なめらか」ですので、こういう王道的なプリンは懐かしく感じます。そろそろこういうプリンに戻りたいなと感じていたところだったので丁度良かった気がしました。

普通にクリーム部分だけ食べてると、思いっきり普通のプリンにしか感じないんですが、カラメルにぶち当たった途端、意外な個性を発見します。カラメルが非常に苦いですね。お酒がバッチリと効いています。このカラメルだけスプーンですくって食べようとはしない方がいいかも…。

カラメルに行き着くまで半分以上食べてしまったので、カラメルの強さが上回り過ぎてしまいました。早いうちにカラメルと混ぜておくといいバランスで食べられるんじゃないかと思いました。

硬いクリームとか、苦いカラメルとかいう方向性自体はすごく好きです。ちなみに一番好きなプリンはマーロウなんですが、あちらのカラメルは煮詰めた結果によって醸し出された黒い苦さだとすれば、エーグルドゥースの方は洋酒の効かせ方が強い、赤い苦さという印象。この赤い苦味は想像以上に強いので、人を選びそうですよ。ちょっとピリっとくるんです。「おお、ヤベエ!」って感じです(笑)

○クレーム・ドゥ・フロマージュ Crème de Fromage -(¥370)

当初は、もう一方のトランシュ・フロマージュを買うつもりでいましたが、実際にお店で見た限り、トランシュ・フロマージュは随分と薄く見えたので(笑)、高さ十分なこちらのクレーム・ドゥ・フロマージュを選択しちゃいました。それでも値段は一緒でした。

向うは、しっかりと焼いた濃厚なベイクドな感じで重厚、こっちはふんわりとしてサッパリした軽さのある感じ、という印象。トランシュ・フロマージュは次回いってみます。

さてこのクレーム・ドゥ・フロマージュは、フロマージュ・ムースの間にアプリコットのシロップを上にばっちり打ったスポンジを挟むという構成です。スポンジは割と薄いものになっていて、アプリコットのシロップが混ざっています。これが2対2層になって、最上部に控え目なシャンティーがクルクルとデコレートされています。単なるシャンティーというよりも、わずかに風味も感じました。

このシャンティーを舐めた後にフロマージュのムースを舐めると、フロマージュのコクを随分と感じるのですが、フォークを入れて全体を通して味わってみると、意外にもフロマージュがかなり控え目に変身し、アプリコットが代わって前面に迫り出すような、入れ替わり立ち替わり、といった様子を見せます。全体的には食べ易い万人受けしやすいケーキだと思います。

はっきりとした甘いケーキが並ぶ中で、割と食べ易いケーキもエーグルドゥースには並んでいる事が多いと思うのですが、このケーキはそういったラインナップの一つではないかと思いました。これでイマイチならさきほど挙げたベイクド・タイプのトランシュ・フロマージュを選択するといいのではないでしょうか。…それでもダメなら、…チーズケーキファクトリーとかしろたえ辺りで(笑)

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○ケーク・キャラメル - Cake Caramel -(¥1,050)

ついにケークシリーズへ手を伸ばしてみました。となれば、最初はやっぱりこれしかないでしょう。

エーグルドゥースのお店の匂い、っていうのがあるんです。どこの洋菓子店でもある程度甘い匂いがするものですよね。ただ、エーグルドゥースの匂いはタルト生地の匂い、そしてキャラメルの匂いなんですよ。今日やっと判りました。いや、別に匂いフェチではありません。

上部を覆う、このガリガリのキャラメル。すごい。フォークもナイフも入っていかないこの反発力というか抵抗感というんですか。もちろん、もう少し力を入れれば大丈夫です。生菓子の感覚でフォークやナイフを入れるとはね返される、といったレベルの硬さです。ガッチリとキープされたカラメリゼは日持ちします。長さは全長25〜30cmといった感じでしょうか。

一方、その香ばしいキャラメルの匂いとは裏腹に、生地自体は非常に食べ易さがありますね。見た目にはこれだけバッチリとキャラメルがかかっているので、まだ未体験の方にはさぞかし甘〜く見えるかもしれませんが、その甘さは実に控え目、程よい苦味と香ばしいキャラメルの食感。ただただ美しいの一言。

ただ、すでに4ツも生菓子を食べているので、ケーク・キャラメルは2回に分けて食べる事にしました。っていうか、翌日も食べたいなと。ちょうどチップのある辺りでこの日は止めました。

(追記)
翌日、残り半分を食べました。冷蔵庫に入れておいたせいか、上面のキャラメルは、より固く感じられました。しばらく置いて常温に戻してから食べるのがよさそうです。あいかわらず美味しいですね。箱に記載されている賞味期限は15日の土曜日まで。つまり一週間は持つという事です。すごいですね。

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エーグルドゥース(Aigre Douce)

場所:東京都新宿区下落合3-22-13
最寄駅:JR山手線「目白」駅より徒歩5〜6分
営業時間:10:00-19:00
定休日:水曜日(祝日の場合は翌日)
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今回の総評はこちら
posted by 照乃芯 at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | エーグルドゥース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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