
これは当初、アントルメで買うつもりでいた焼き菓子。メゾン・ド・プティ・フールの中でもとりわけ人気のお菓子だそうです。スペインとフランスの国境付近にあるバスク地方の郷土菓子ですね。
…フランス菓子の世界ではバスクは重要な町の一つですが、ほんとはバスクって、独特な存在ですよね。自分の中ではバスクとは「一応スペインに属する町だけど、半分は独立都市」だと思ってます。フランスではなく、スペイン。独特の理由としては、まずバスク語を主とするし、民族的独立意識が他の地方よりも強く(カタルーニャ地方以上?)、スペイン国内においては政治的にも何かと目立つ存在だし。血が濃いっていう感じです。誇り高そうというか。バスクにはアスレチック・ビルバオというプロサッカークラブがあるんですが、所属する選手は基本的にバスク人オンリーです。しかし監督だけは余所の地方から招聘したりします。監督(マネージャー)はスポーツの世界では重要なポジション。「やるのは選手」というのは理屈で、その選手を外から動かせる管理者としての存在意義は軽視できません。バスクにあるこのサッカークラブも、もちろん他の血を入れる意義を知らないわけではないんです。ただ誇り高さゆえに守り続けているものがある。こういう部分をかたくなに守っているクラブなんです。サッカーの世界においてでさえ血の濃さは揺るがない。そんなバスクですから、その存在性というかポジションは明らかに、フランスにおけるモナコとも違うし、イタリアに対するサンマリノとも違う。その分、培われた独自の文化には目を見張るものがあり、その代表がガトー・バスクだったりし、ゆえに多くのパティシエが郷土菓子を学びにここを絶えず訪れるのでしょう。一目置く場所、という印象です。政治的にはあんまりお近づきになろうとは思いませんが、甘いものなら大歓迎です。
行ったことないけどね(笑)

○ガトー・バスク - Gateau Basque -(¥380)
ラム酒漬けのレーズンが入ったクレーム・ダマンド。去年ピュイサンスのも食べましたが、ホっとさせてくれる味。それに尽きます。
生菓子を食べる時って、軽くテンションが上がるんだけど、焼き菓子は、ほんとに落ち着いて食べたい時に、その通りに落ち着かせてくれる、暖かみのあるお菓子。優しい気持ちになれる。年に何度かそういう気分に浸りたくなる。そういう時に焼き菓子が美味しいと評判に聞くお店を訪ねるんです。そんなお店のそばには、決まって落ち着いた並木道や川のせせらぎがあったりする。
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Maison de Petit Four(メゾン・ド・プティ・フール)
住所:大田区仲池上2-2-17
最寄駅:都営浅草線「西馬込」駅南口下車、徒歩10分前後。
営業時間:9:30-18:30
定休日:年始を除き年中無休
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