2007年02月09日

吉祥寺/L'Epicurien(3):エゴイスト

タカシマヤ新宿店10階催会場にて開催中のアムール・ド・ショコラで、久しぶりにレピキュリアンのケーキを買いました。2つ買ったうち、昨日アップしたのはアムール・ド・ショコラ。今日はエゴイストです。前から一度食べたかった去年発表されたケーキ。

lepicurien_egoiste.jpg

○エゴイスト - Egoiste - (¥420)

美しくグラッサージュされたトリニダードトバゴ産チョコレートガナッシュの上に、赤ワインで煮た洋梨…いや、そうだったみたいだけど、どうも赤ワインでは煮てないんじゃないかと。洋梨の下にはピスタチオのムースリーヌ。更に上部には塩・コショウで焼いたパータブリック。グラッサージュの外周部分にはアムール・ド・ショコラにも使われたクラムなどもまぶされています。もう、とことんケーキ作ってますね(笑)

驚くのは、ガナッシュの下層に、プラリネ風味と思われるチョコでコーティングされたビーズ状の丸いサクサクしたパフが入ってるところ。その下はショコラビスキュイです。一体どれだけ研ぎ澄ませた仕事をされているのか、ため息がこぼれそうなケーキです。エゴイスト、まさにエゴイスト。

他のシェフが同じように手の込んだことをやったらきっと「やりすぎ」になると思うんです。自分には普段、引き算の美しいケーキを愛する傾向がありますが、金子シェフのケーキだけは別枠を確保しています。

引き算をよしとする価値観が芸術の世界にはあるかも知れませんが、このケーキは真っ向からそれとは違うベクトルという名の錯覚(つまり大いなる足し算)を我々に示しながらも、調和から決して大きく逸脱することなく矮小なる宇宙にその味覚を閉じ込めています。このケーキを考え抜いた過程はおそらく、イメージにおいてさえ我々に近寄りがたいストイックな光景を連想させます。エゴイスト金子ここにあり。

井の頭公園のすぐそばにあるあのパティスリーは、その周辺にあるパティスリーとは全く異質な次元を持つお店ではないかと思っていました。時々恐くなります。でも、このトンガリ方にむしろ好感というか敬意すら感じます。レピキュリアン=美食家にはいまだ程遠い自分ですが、いつまでも自分をたっぷり突き放してほしい、そんな気にさせるケーキでした。

[ Pâtisserie Maison L'Epicurien(パティスリー・メゾン レピキュリアン) ]

場所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-9-5 レンツェン吉祥寺
最寄駅:JR中央線・京王井の頭線「吉祥寺」駅南口から徒歩3分。
営業時間:10:30-20:00(土日祝:19:00)
定休日:水曜日(パティシェリア入荷日は金・土・日)
イートイン:可(ラストオーダー/平日:〜19:30、土日祝:〜18:30)

posted by 照乃芯 at 01:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | レピキュリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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