今回は初めての来訪だったのでタイトル通りのケーキを3つ購入しました。バスで荒木町まできて、新坂を下って左へ。靖国通り沿いなので判り易いです。学生時代、大学から歩いて帰った事が何度もありましたが、二度だけ靖国通りルートで帰った事がありました。ラ・ヴィ・ドゥースのある辺りは、よく見れば見覚えのある場所でした。…といっても当時はラ・ヴィ・ドゥースはまだありませんでした。
店内は結構お客さんがいましたが、パン(?)やら焼き菓子を買う人が圧倒的に多かったのはなんででしょうか。

というわけで以下コメントです。よろしく哀愁。
○アルザス - Alsace -(¥399)
これは完全に店頭で見て選んだケーキ。他のものに比べて明らかにデカかったので、思わず選択しました。他のも十分大きめなんですが、これは特に大きく見えました。表面に砕いたナッツがあしらわれているのも購入意欲をそそられました。
真ん中に木苺のジュレがあって全体をシナモンのムースで包み、上と下からシナモンのクッキーで挟んであります。今日の風が凄まじかった事もあって、家に着いた時は少し傾いて型が崩れてしまいました。このお店には木苺のクリームのマカロンもありました(別に買いませんでしたが)。
クッキーは全然硬くなく、プラスティックのフォークであっさりと割る事ができるので、ムニューっとムースを横に押し出さずに食べる事ができます。上のクッキーはあえてこういう硬さにしてあるのでしょうね。形もドーナッツ状になっているようで、それがフォークの入れ易さに繋がっています。下のクッキーは土台なので上のそれよりもやや厚く、より硬いものになっています。
○カテリーヌ - Catherine -(¥399)
キャラメルと洋梨のタルトという事で買ってみましたが、2時30頃に訪れた時には残り2個という状況で、結構人気があるケーキのようです。キャラメルムースの下にも洋梨が入ってますね。キャラメルのタルトは、口に入れた瞬間に苦味→フルーツの酸味→ムースとキャラメルソースの甘味、という順番で舌の上に表現されてます。「甘味×酸味×苦味」というこの店の売りが見事に表現されてました。
甘味と酸味ならすぐに判りますが、苦味の部分は一体どこで表現されるのだろう、というのは帰りがけにずっと気になっていたので、いざタルト生地を口に入れた瞬間は頭の中で「苦味キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!」と。美味しいです。選んで正解でした。
こちらもサイトで確認した時は¥320でしたが、店頭では¥399。まあ300円台がほとんどというラインナップなので、非常に良心的ではあるんですが。
○フレジェ - Fraisier -(¥399)
まさに子どもの頃に慣れ親しんだイチゴのショートケーキ。ホイップクリームもふんわりとして美味しいし、イチゴとの相性は抜群。どれだけ美味しいかは、他所のものと食べ比べてみないと相対的に評価できない部分があるので保留しますが、とても美味しいです。あまりにもクラシカルでオーソドックスなケーキを選択してしまったので一瞬ためらいましたが、選んで正解でした。
Cake Piaで紹介されているラ・ヴィ・ドゥースの商品ページでは¥320だったんですが、店頭では¥399円でした。データが古かったんでしょうか。イチゴは、その都度仕入れ値が変わるだろうけど、他のケーキも値段が違っていたので、どうなんでしょうかこれは。¥399までくるとさすがにコストパフォーマンスを過剰に褒めるのはどうかなとも思う。
-------------------------------
(今回の総評)
今回は偶然3つともすべて¥399のケーキを買う事になりました。¥400を超えていたケーキはほとんど見受けられなかった点からいって、価格設定はかなり良心的だと思います。
よって会計が¥1,197。くしくも先週自由が丘で買ったパリセヴェイユの3つのケーキとほぼ同じ会計になりました。そこですぐに気付いたんですが、……残念ながら、3つ食べ終わった時の僕の満足度は、圧倒的にパリセヴェイユの方に軍配が上がる事になりました。
ラ・ヴィ・ドゥースも、バッカスなどのスペシャリテを今回保留しているので、今回の3つのケーキで全てを判断しきれない部分もありますが、ほぼ同じ会計になるのなら、僕はより濃厚な方を選ぶのだという事がわかっただけでも、ここ最近食べ歩いてきた成果が出てよかったなと。
若干期待し過ぎたのかも知れません。自分の好みとは違う横倒し式のミルフィーユがなかったのも結果的にマイナスかな…。あるなら食べるつもりだったけど、お店に行って店頭にないとなると、次もお店へ買いに行こうというモチベーションがタカまりそうな感じがしません。「いざ迷ったらミルフィーユ(まあ、要するにお気に入りのもの)もあるし」という選択がないのは自分にはマイナスでしかありません。
今回食べたケーキについて、特に味に関して相性の悪さは何一つ感じなかったし、価格から考えれば素晴らしいとさえ思ったのだけど、やっぱり自分は濃厚が好きらしいです…。それをハッキリ気付かせてくれたという巡り合わせは、切なくもあり…皮肉っぽくもあり…。なんだか黄昏れてしまいました。見た目の印象では気に入ると感じたんですけどねえ。まあ、そういう事もありますよ。
先月から今月にかけて食べ続けてきたお店がお店だけに仕方ないかなとも思っています。自分の中でのベスト3とか5とか、そういうものがいくつか埋まってしまってきている。つまり「基準」が出来つつある。
もちろん味の相性には個人差があるので、別の人には抜群にマッチしている可能性が十分過ぎるくらいあるはずです。
-------------------------------------
ラ・ヴィ・ドゥース(LA VIE DOUCE)
住所:新宿区愛住町23-14 ベルックス新宿ビル1F
最寄駅:都営新宿線「曙橋」駅下車、徒歩3分
営業時間:10:00-20:00
10:00-19:00(日・祭)
定休日:月曜日
--------------------------------------------
あえて「続きを読む」として本エントリーとは分けて掲載する事にしました。
あくまでケーキ以外の評価なので、必要ない方はお戻りくださって構いません。
こういう事を書くのは非常に思いきりがいるので、随分悩みました。接客の事なんですが、気になった点があったんです。
今まで訪れたお店の中ですごく素っ気ない事務的な対応をされた事もあるにはあったのですが、自分自身そこら辺をそんなに敏感に気にする(嫌がる、という意味の)方ではなかったので、接客についてはレビューであまり多く言及せずにきました。良ければ褒める、という程度。
例えばオーボンヴュータンなど、接客には賛否両論渦巻く老舗もありますが、自分が足を運んだ時には特に気にするような部分はなかったし、オール男性スタッフというのも変わってて面白いとすら思っていました。思わず三島由紀夫の『花ざかりの森』を連想しましたよ。
ほとんどのパティスリーでは若い女性スタッフが接客をしている事が多いから、人当たりの柔らかさでいえばそれは確かにオーボンに違和感を覚える人もいるでしょうね。僕は何でも女性であればいいとは思っていないし、厨房で腕を奮っているのはほとんどが男性だから、男性が接客をしたっていいじゃないの、と思いますよ。その逆もしかり。
だから、今回は書こうか止めようかかなり迷ったんですが、今後リピートするかどうかを決める上で心に引っかかりが生まれてしまったのも事実。接客面も含めてこそお店の価値は存在するという観点から、ハッキリと書かせてもらいます。
気になったのは、ショーケース前で選んでいる自分の後ろを男性スタッフが通過する時でした。
割と混んでいたものの、かなり密接に背中が当たって、僕はチラっとその方向を振り返ったのですが、その男性スタッフは何もなく素通りしていきました。その際「失礼します」という一言がなかったのは、いくら何でもさすがに気になりましたね。フロアにいたお客さんの一人であればまあ構わないでしょう。それでも「すいません」くらいあれば、こちらも「あ、いえいえ、こちらこそ失礼しました」と返せるものです。ところがお店のスタッフだったというのはショックでした。
これはフェイス・トゥ・フェイスの接客という事ではなかったケースですが、フロア内でのスタッフの移動も当然客に気を使うべきでしょう。そうでなくとも、普通、人の間を分け入る時は「失礼します」の一言くらい基本です(大人も子どもも関係なく)。その点だけが唯一、マイナスとなりました。後は及第点。
…ただ、フェイス・トゥ・フェイスの接客対応の面でも、自分には全体的にそれほど好感を与える接客には感じませんでした。応対にあたってくれたある女性スタッフとの間にもややギクシャクしたやり取りがあったし、よそ見されながら通り一遍事務的な対応をされて心がこもった感じがまるでしませんでした。
パティスリーではこんな対応初めてだし、他のジャンルのお店でもちょっと記憶になかったので、心底ガッカリさせられました。肌が合わなかったというのとは少し違うような気がする。別に自分はその店にとって特別な存在ではないけど(まあ初来店ですから)、もうちょっと普通に一人の客として尊重されたいなあという思いはあった。接客にバラつきがあるのだとしたら哀しい事です。風がとんでもなく強い一日だったせいもあって、帰りはすごく辛かったな。
接客もそのお店の価値の一つである事を今さらながら実感しました。さっき書いたオーボンヴュータンでは、接客に賛否両論あるのが事実ですが、自分は嫌な思いをさせられた事がなかったので、あまりピンと来なかったのです。ところが今回の一件で、接客の際に嫌な思いをした事がある人の気持ちがよく判りました。一つ一つはとても瑣末だったり、小さな気配りレベルだったりするような部分であっても、それが何回も繰り返されるとその印象はスフレのように膨らんでいきます。いつか萎むのかも知れませんけどね。
相対的には、それは個別的な問題でもあるという事だから、その店の接客に対する絶対的な評価という意味ではない事をご了承ください。そして、あくまでケーキの質については今回きちんと区別して評価したつもりです。特にフレジェなどはすごく好感の持てる出来でしたし。
今回、接客で嫌な思いさえしていなければ間違いなくリピートあるいはローテ入りを決めていたかも知れないだけの価値を窺わせたお店だった事も書いておきます。ケーキが美味しいならそれで構わないという人は、どうか気になさらずお出かけください。
そんなせいで初来店の印象がすこぶる悪くなってしまいましたね。本当はきっとイイお店なんでしょう。ただ、こうなってくると、今回バッカスを一緒に買っておかなかった事が自分のミステイクだったのでは…と思えます。そう思う事自体が後悔であって、後悔を嫌う自分には一層厳しい気分。というのもバッカスをスルーすれば、次回への動機付けになりますから、次回足を運んで嬉しかったら、きっと3回目以降も行きたくなったろうし。必ずしもバッカスを買わなければその店に価値がないとは思わなかったから今回は別のケーキを買ったわけで。だからすごく残念です。
そうしてもう一度足を運んで、その時気持ちのいい接客を受ければ、今日あった事のすべてを水に流してしまおうという用意は出来てるのです。その思いとは裏腹に、心の足取りは日に日に重くなる一方です。…困りました。渋谷駅に着いた時に「上町」行きの東急バス(つまりフラウラ)が目に入った瞬間心が揺れたのですが、都営バスの一日乗車券をすでに購入してしまっていたためにそのまま予定を進めました。
その時々の直感も尊重し、計画を部分的に崩す事を恐れず、臨機応変に対応する自分としては非常に「らしくない」融通の効かない行動でした。すべて計画通り進める事が最高の結果を導くわけではありません。…そういう意味では相当反省しました。自分の心がちょっと貧乏臭かった。一から十まできちんと予定をこなす自分というのはあまり面白くないし、好きではないですね。
全般的に300円台のケーキが多く、コストパフォーマンスを絶賛される方もいらっしゃるのかもしれませんが、その多くは限りなく400円に近いもので、しかも出かける前にサイトなどでチェックをした時の価格とは79円も開きがあるケーキが目立ちました。それでも300円台をキープしているのは頑張ってる方だと思いますが、もうここまでくると他のお店ともそれほど変わりがないですし、もはやその点だけを手放しで褒めちぎるわけにはいきません。同じように300円後半でもっと美味しいケーキを提供しつつ接客もソツなくこなすお店はあるわけで。
というわけで、その接客の一点を除けば、イイお店だとは思いました。ただ、先にも述べたように、自分の指向が「より濃厚なもの」である事を自覚するきっかけになってしまった感があるので、接客での一件も含めると、本音を言えば今まで訪れたお店に比べてリピート率は格段に落ちるか、場合によっては次の来訪がほぼ最後になる可能性もあるなあ、という雑感です。一ヶ月から二ヶ月のローテーションで回してゆけるお店の一つとなる可能性が高かったので、本当に残念でした。次回バッカス目当てで来訪するのが最後にならぬよう、そして今回のようなレビューにならぬよう祈るばかりです。
【パティスリー(未分類)の最新記事】