2006年03月05日

自由が丘/Patisserie Paris S'eveille(1):サントノーレ・キャラメル、コム・ニューヨーカー、シュー・ア・ラ・クレーム

ラ・プレシューズへ行った昨日の今日ですから、さすがに昨晩は「もう明日はいいや」と思って寝たんですが、朝起きたら「さて今日行くのはどこかな?」って。すぐに行こうと思いました(^^)

自由が丘という場所は、実は30年以上生きてきた中で駅の外に出るのは初めて。なんとなく女の子が遊ぶ街というイメージがあって、男の自分には特に用がない印象がずっとありました。

降りてみると、駅前は妙な傾斜がついてるんですね。左にはダロワイヨも見えます。その二軒ほど隣にある路地を入って学園通りへ向かいます。思いっきりパチンコ屋の横を通るのは正直ガッカリさせられました。これでもう自由が丘に対する幻想は一瞬で吹き飛びました。

学園通りというと爽やかな名前ですが、結構道幅が狭くて、それでいて車の往来が激しい。パリ・セヴェイユは踏切にほど近い区画の角にありました。ここだけ雰囲気が洗練されていて妙に浮いてなくもないですが、どちらかというとパリ・セヴェイユの佇まいの方が、自分の抱いてきた自由が丘の街のイメージに近いものがあります。例えるなら、男子高の生徒が、実は隣にある女子高も本当はこっちと変わらないくらい、中では割とガサツだったという、これまでの幻想を見事に打ち砕かれた時に似た印象がありましたね。こんな事書くと地元の方に申し訳ないんですが、なんだよ意外と庶民的なんじゃんというか、渋谷区民の自分から見ても、自由が丘って思ってたよりもどうってことない街だったと思いました(すいません笑)

で、パリ・セヴェイユにやってきました。ここも以前から行きたいと願ってやまないお店でした。渋谷の東急フードショーで多分期間限定だと思うんですが、出店しているのを土曜日に確認していました。その時ショーケースを見た限り、この店を代表するサントノーレ・キャラメルとムッシュ・アルノーはなかったようで、今日も自由が丘へ向かう東横線に乗る前に確認してきましたが、やっぱりありませんでした。ないならないで本店へ行くまでと決めていたので、すぐさま電車に乗り、自由が丘へ、というのが今日の足取り。

とにかく写真で見たケーキのフォルムがとても美しく、非常にエロかったので、絶対に行こうと思っていました。…二日続きで甘いもの? 全然。エロは人を動かすゆえ。

さて動機はともかく、今回は店に入ってオーダーする直前まで「イートインするかテイクアウトするか」で悩みました。しかし、さすが人気店ですね、満員でした。訪れたのは15時10分前くらい。確かに落ち着くにはいい頃合いの時間ですよね。あと一席空いていればイートインできたという状況だったんですけど、タッチの差っていう感じで無理でしたね。

パティスリーのイートインスペースとしてはかなり多い座席数に見えたのですが、どうでしょうか、さすがにテーブルの間隔はキツキツでした。でも、とてもいい雰囲気のお店で、タイミングがあえば次回以降、イートインを実現したいです。

ま、そんなこんなで、学生時代にカフェ巡りをした経験からいって、くつろぐべき場所であるカフェで順番待ちするのは邪道・噴飯ものという持論に基づいて、テイクアウトに切り換えました。天気がよかったですし、「テイクアウトなら公園で」と最初から決めていたので、買ったらすぐに電車で渋谷に戻って代々木公園へ向かいました。

代々木公園、じゃなくても適当なテーブルと椅子、そこそこの陽当たりが確保できる公園なら何処でもよかったんです。ただ、自由が丘は初めてで土地勘がまるでなかったので、結局思い付くのは代々木公園くらいしかありませんでした。

風はまだ少し寒く感じるけど、陽射しは十分春の性質を帯びたものだと判ります。いつもは自宅でのんびり派だけど、順番待ちしてまでイートインという既成事実を手に入れたいとは思わないですからねえ。だったら陽当たりの良い公園で味わった方がずっと豊かだと思いません?

代々木公園は日曜日になるとサンバの音が聞こえるんですよね。これはもう昔からそうです。僕が19歳、20歳くらいの、つまり10年以上前からそうでした。西原や元代々木の辺りからすでに聞こえるから相当な音量です。冷静に考えると、サンバを聴きながらパリ・セヴェイユのケーキを食べる、というのはものすごく滑稽です。貴重な体験をしておるな、と我ながらシミジミ感じる次第です。

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とまあ、そんなところでそろそろ本題へ。以下コメントです。ここからパリ・セヴェイユの生菓子にデザインのメスが入れられてゆきます。よろしく哀愁。

P3054208.jpg

*表記してある価格はすべて税込です。
○サントノーレ・キャラメル - Saint Honoré au Caramel -(¥420)

パリ・セヴェイユに足を運んだら、まずはこれを食べたかったという一品。ムッシュアルノーは次回の愉しみにとっておきます。

まず、キャラメルクリームの美しさにまず目を奪われます。コーヒーも入っているのでしょうか、非常に落ち着いた味です。キャラメリゼされたプチシューにはそれぞれカスタードが入っています。これらは結構しっかりとくっつけられていて、構造上簡単にフォークで取り外すことができません。自分の場合はフォークを諦めて指でつまんで外しました。下の台はしっかりと焼かれた生地で、やや苦味寄りですね。

○コム・ニューヨーカー - Comme New Yorkals-(¥441)

ニューヨーカルズ?…チェッカルズか。ほのかな甘さのサクサクとしたそぼろ状のクラムが上に乗った、レモンの香りが爽やかなチーズケーキです。

全体的に濃厚な印象があるこの店のラインナップからすると、割と万人受けしやすいものだと思います。特にサントノーレ・キャラメルなどを食べた後だと余計食べやすい印象が残りますね。いくつかまとめて買ったりする場合は、バランスとしてコム・ニューヨーカーを一緒に買っておくと胃に優しいかも。

○シュー・ア・ラ・クレーム - Chou à la Crème -(¥262)

最後に食べたのが、このシュー・ア・ラ・クレーム。毎度の事ですが、これでカスタードとの相性を探ります。硬めのシュー皮の周りにはナッツが散りばめられているもので、大きさは昨日食べたラ・プレシューズのシュー・ア・ラ・クレームとほぼ同じに見えますが、ほんのわずかにこちらの方が小さいようにも見えます。

カスタードはバニラビーンズが豊富で、重さを残さない。卵の風味はそれほど強く感じません。だから色もやや白に近いというかバニラ色というか。クリームはやや、ゆるめ。サントノーレを食べ終わった後にやってくる濃厚さゆえにズシリとした腹持ちの後にはちょうどいい感じ。シューの中にはクリームがたっぷりと詰まっていて、バニラビーンズ寄りのシュークリームの中では結構いい印象です。

○飲み物には「カシス・オレンジ スパークリング」(某○ン○○ー)を選択。スパークリングにしたのは、ケーキの濃厚さとのバランスから。ちなみに、この飲み物はパリ・セヴェイユで買ったものではなく、渋谷の公園通りにあるコンビニで適当に買った安いお酒です。。。

エスプレッソとかを安易に合わせるのは、ここの生菓子の場合ひたすら重いだけのような気がします。参考までに、自分はトンカツにはしじみの味噌汁派です。アサリでも可。

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(本日の総評)
パリ・セヴェイユはエロい!

エロとか書くとスパムTBが反応したり、変なお知らせメールが来たりして、マジで殺してやりたいんだけど、エロいんだからしょうがないね。

どうエロいのか、という事ですが、これは完全に男性目線ですね。服は身にまとっているという点でグラビア等はここでは一切除外してください。完全に衣服に覆われているのだけど、隠しきれない女性としてのボディラインだとか、フェロモンゆえに香りたつ性的なアピール、そういったものを感じます。脱がしたくなるんですよ。そこが男性目線のケーキだと思いました。

フォークを入れる手が、まるで女性の衣服を一枚一枚脱がしているかのような。

時折食べづらささえあるサントノーレ・キャラメルですら、男としてスマートに食べ切りたいと願う部分がある。自分はあくまでも男であるという事を認識するんですね。このケーキを上手に食べきる男でありたいと。これは女性の人格が入り込む余地が与えられない自己満足のこだわりとしての一人称であるロマンという意味での男ではなく、向き合う女性がいて、あくまで男と女、という二人称としての男ではないでしょうか。なんかそんな気分になりました。

余談ですが、パリ・セヴェイユのレシートには一品ごとにきちんと商品名が記載されている点を、地味に評価したいですね。……覚えきれないんですよね(´・ω・`)

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昨日今日と、都内有数のパティスリーに足を運びました。どちらも前から来訪を予定していたお店でしたが、いずれもウワサに劣らぬいいお店でした。昨日のラ・プレシューズと合わせてセレソン入り決定と致します。

セレソンというのはサッカーをやっている人ならご存じでしょう。選抜、セレクション、ということですね。ちなみにポルトガル語です。一番とか二番、★四つとか五つとかではなく、マラソンの先頭集団に相当するような固まりを自分の中に作りたいと思っているんですね。これからの生活の中でローテーションを回してゆける、飛び切りのお気に入りを。今はその選考の真っ最中という事になります。これがまた愉しいんです。

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パティスリー・パリセヴェイユ(Patisserie Paris S'eveile)

住所:東京都目黒区自由が丘2-14-5
最寄駅:東急東横線「自由が丘」駅正面口下車、徒歩3分
営業時間:10:00-20:00(L.O.19:30)
定休日:無休
posted by 照乃芯 at 23:32 | Comment(2) | TrackBack(0) | パリセヴェイユ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは(^−^)
なぜか良く行くパリセヴェイユが どんなふうに表現されてるんだろう〜〜って、来てみました(^−^)
数少ないパティシエのお友達とかに 「どこのケーキが美味しいと思う?」っていうと 2人に一人がここのお店をあげるので きっと美味しいんだとは思うんだけど、いつも 何か違うって思ってしまって、、、
だったら行かなければいいのに(笑) なんだけど、 ビジュアル的にあまりに美しいので つい、、、
それと 否定できない何かがあって、いつか 美味しい!って思える一品に出会えるんじゃないかなっていう期待を捨てきれなくて
ついつい通ってしまうのです。
私がいつも思ってた 、これって 男性目線で作ったケーキだよなあ、、っていう思いが、ここに書いてある、エロい!っていう表現と共通するような気がして、そうだったんだ〜〜なんて変に納得しちゃいました(笑

そうだったんですね〜〜(笑
Posted by カシス at 2010年05月06日 17:49
カシスさん、こんばんは!

>エロい!
そこですか?(笑)

サントノレって、聖人の意味ですけど、ケーキ自体は美しい形状で、
古典的なものはいささか野暮ったい。
現代的アレンジのものは直線的な形状の中に
オブジェとしてプチシューが添えられているような、
抽象化された現代アート的デザイン。
と、形状も様々。

しかし、割と一般的に知られるサントノレの形状って、
どこか女性の持つ曲線が描かれているような、
エレガントさと艶かしさを醸し出すお菓子に見えてくるんです。
僕が好きなサントノレも、そんな曲線があるタイプでして。

ドレスのドレープを思わせる華やかな流れ、
プチシューとリングシューが組み合わさって織りなす曲線。
聖人という予備知識がありつつも、僕はこのお菓子の前に立つと、
まるで一夜のグラマラスな淑女を見つめるような心地でファインダーを覗き込んでいるような、
不図した錯覚を覚えることがあります。
ショーケースを彩る「看板娘」と呼ぶには、あまりにも艶かしい。

そんなせいか、サントノレにレンズを向ける時は、
何故か出来るだけエロく撮りたいと思ってしまいます(笑)
キ、キモイ……。と自分でも思います。時々、我に返ったように。

なんか、甘時間なのにこんなに張り切ってエロトークしちゃって、本当にすいません。
熱く語ってるつもりはないんですが、サントノレに対する
食べ手の側の自分なりの受け止め方について触れると、
どうしても避けて通れない話なので。。。(笑)
Posted by 照乃芯 at 2010年05月06日 21:05
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