今回で第三回目を迎えた甘時間主催のアントルメ会「C'est l'heure du goûter〜d'Été:季節のアントルメより〜マドラス/Madras(Les Entremets Saisonnières)」。

パリのアルノー・デルモンテル(Arnaud Delmontel)時代のアントルメで、由来は定かではないが、名前がマドラスということで、最近の夏の日差しに負けないように色鮮やかなマドラス・チェックの生地を下地に、その上にバナナの葉をテーブル全体を覆うほどの「大きなお皿」代わりにしてアントルメを直接置き、南国ムードがいっぱい溢れる絵にしてみた。

メインはノワ・ド・ココのムース、上には石垣島産の豊潤な甘味のあるアナナス、ステック・バニエ、ライチ(ディスク・リーチ)はヨーグルトっぽい酸味を併せもつ。そのすぐ上には、チャツネのややスパイシーな香りのアナナスに、土台はしっかりとした厚みのあるダックワーズ生地。多少ノワ・ド・ココの繊維質な食感が。ムースは完全にノワ・ド・ココというよりミルクの味わいが感じられるのは乳化しているせいもあるのだろうか?

ノワ・ド・ココの爽やかさとミルクのコクが夏風のように頬を撫でる。石垣島産の豊潤な甘味のあるアナナスは蟻も寄ってくるほどの香しい甘味。パイナップルでハードルがあるとするなら、ピリッと舌を差す刺激がたまに存在すること。キシキシとした食感の中に、軽く緊張感が同居するような甘味は自分も得意ではなかったが、アントルメを食べる前に食べた石垣島産パイナップルの甘味に心を奪われた。ココナッツも同様かと思う。繊維質な食感など、この素材にハードルを感じる人もきっといるかと。実はこのアントルメ、マドラスはそういった点でも我々に随分と攻めの姿勢を見せつけている。

それぞれのパーツを単品で食べてもお菓子として美味しいところがブランジュリー パリの空の下のアントルメの、「苺のシャルロット」以来、共通した特徴。チャツネのスパイシーさにまるで怯まぬ個性あるムースにゼラチン寄せ。
アントルメ会では一人1/4カットを通常食べてもらっているが、どなたも割とあっという間に食べ切ることになった。このお店のアントルメの魅力は素材の味わいと完成された仕事が、我々食べ手の素材に対する壁を瓦解させること。これだけ攻めたアントルメであるにもかかわらず、我々は臆することなく受け止めてしまう。受け止めさせてしまう。

[ Boulangerie Sous le ciel de Paris(ブランジュリー パリの空の下) ]
場所:東京都世田谷区上馬5-40-13
最寄駅:東急田園都市線「三軒茶屋」駅より徒歩10分。東急バス「若林3丁目」下車、徒歩1分。世田谷通り沿い、環七交差点交番の先。
営業時間:11:00-19:00(商品がなくなり次第終了)
定休日:日、月、火曜
場所:東京都世田谷区上馬5-40-13
最寄駅:東急田園都市線「三軒茶屋」駅より徒歩10分。東急バス「若林3丁目」下車、徒歩1分。世田谷通り沿い、環七交差点交番の先。
営業時間:11:00-19:00(商品がなくなり次第終了)
定休日:日、月、火曜