出すのが遅くなってしまったけど、これは以前、「一日限定」で並んだタルト。リュバーブを忍ばせた淡い軽やかなクレーム・ダマンド・ピスターシュ。おそらくマラ・デ・ボワのものかと思われるピュレにイチゴ。よく立ち上がったフイユタージュにはションソン・ア・ラ・パリジェンヌのものを使用。一番下でローズが香りの器として支える。フイユタージュの間からローズの香りが放たれるかのような、通気口のようにさえ見えてくる。リュバーブとローズの香りが口の入った途端、気品のある香りが口に広がる。

ションソン・ア・ラ・パリジェンヌの時にはあまり感じられなかった、この食感のある十分な量のリュバーブとフイユタージュ・ローズが合わさった香りと味わいがとても良かった。そしてここにあった淡い軽やかなクレーム・ダマンド・ピスターシュも重要な役割があったと今にして思う。最初に舌に触れるのがフイユタージュ・ローズというのが大きく感じられた。まず味わいでロゼを感知し、噛むことで空気が入り、ロゼに触れ、混じり合い、下から香りが立ちこめてくる。
大きい粒が乗ったイチゴはビジュアルとしても味わいとしても存在感を主張するものの、スパイスのポジション?とでもいうようなアクセント的存在に近いものを感じた。むしろこのタルトはフイユタージュ・ローズとリュバーブ入りクレーム・ダマンド・ピスターシュでかなり完成されていたように感じた。……いや、イチゴが最初に口に入って来たからこそなのだろうか。しかし、先に舌(下)に触れるのはフイユタージュ・ローズとリュバーブ入りクレーム・ダマンド・ピスターシュ。個人的にはイチゴ抜きで十分素晴らしいと感じた。
明日アップする予定のリュバーブのタルトは奇しくもイチゴのないリュバーブとロゼのタルトになっている。
一発のひらめき。
レストランやパティスリーなどでも「シェフのきまぐれホニャララ」みたいなその日限り的なものに出会うことがあるが、時としてアドリブ的アイディアの中からも良作って生まれるんじゃないかと。一発のひらめき。一度作り上げたルセットを崩して、その場の感覚で新たに構築してゆくというか。キュイジニエ的発想というのだろうか、こういうのを。違うか。これを「一発芸」と呼ぶにはあまりに味わいが良かった。
このタルトはまた並んでほしいというのが本音。
一日だけしか並ばなかったタルトだからこそ、儚く美しいのかも知れない。
このタルト・リュバーブ・フレーズを味わい終えた翌朝には、その香りの記憶だけが枕元に残った。
でも、叶うならもう一度逢いたい。
[ Boulangerie Sous le ciel de Paris(ブランジュリー パリの空の下) ]
場所:東京都世田谷区上馬5-40-13
最寄駅:東急田園都市線「三軒茶屋」駅より徒歩10分。東急バス「若林3丁目」下車、徒歩1分。世田谷通り沿い、環七交差点交番の先。
営業時間:11:00-19:00(商品がなくなり次第終了)
定休日:日、月、火曜
場所:東京都世田谷区上馬5-40-13
最寄駅:東急田園都市線「三軒茶屋」駅より徒歩10分。東急バス「若林3丁目」下車、徒歩1分。世田谷通り沿い、環七交差点交番の先。
営業時間:11:00-19:00(商品がなくなり次第終了)
定休日:日、月、火曜