2010年07月19日

特集/こんな風に楽しむコンフィチュール時間(1):苺のコンフィチュールにバジルを合わせて

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パンに一塗りする、ヨーグルトにかける、というだけではなく、もう少し塗りの組み合わせや使い方に工夫してみようということで始まった「特集/こんな風に楽しむコンフィチュール時間」。第一回は、グレープシードオイルに漬けられたバジルのソースに、苺のコンフィチュールを合わせて楽しんでみた。

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パンに塗る比率は、ほぼ1:1でやってみた。ここは好みに応じて比率を変えるといいかと。個人的にはバジル1:苺0.5でもイケた。十分美味しかった。塩気がある分、見た目の印象がおかずっぽく感じられてしまうかもしれないが、苺のコンフィチュールをほんの少し載せただけで印象はガラッと変わる。

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不思議だが、苺のコンフィチュールとバジルソースの組み合わせだと、まだデザート感覚が残る。のだが、一緒に容易したフレーズ・リュバーブのコンフィチュールとバジルソースの組み合わせだと、たちまちサラダ感が出てくる。苺の味わいがまるでトマトに変化したように感じられてくるのだ。

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苺の酸味は、どこかトマトの酸味に繋がる部分がある。不思議とバジルの塩気と香りが苺の酸味と甘味によく合う。
posted by 照乃芯 at 01:47 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 企画・特集・テーマ・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月18日

上馬/Boulangerie Sous le ciel de Paris パリの空の下(59):クロワッサン・オ・ザマンド・クリュ・ピスターシュ・オランジェ

クロワッサン・オ・ザマンド・クリュ・ピスターシュ・オランジェ:Croissant aux Amandes Cru Pistache Oranger

急遽、こちらを先にアップすることにした。クロワッサン・オ・ザマンド・クリュのピスターシュ・オランジェのバージョン。クレーム・ダマンドがピスターシュ風味になっている。まずオレンジの香り、そしてクレーム・ダマンド・ピスターシュのエッセンスの香り。

クロワッサン・オ・ザマンド・クリュ・ピスターシュ・オランジェ:Croissant aux Amandes Cru Pistache Oranger


一口噛むとオレンジの香りがたちまち広がる。ジェラール・ミュロでは生クロはプレーンなものだけらしいので、これはここでしか味わえない。

なんというか、中央部分にまだ解凍し切れていない「芯」が残っているくらいの解凍状態で食べると美味い。

クロワッサン・オ・ザマンド・クリュ・ピスターシュ・オランジェ:Croissant aux Amandes Cru Pistache Oranger


今月は行くたびにクリュを買って帰るが、クリュ(以下、生クロ)をまず冷凍庫に入れてしっかりと凍らせてから冷蔵庫に移して冷蔵解凍すること20……30……40……50分といろいろ解凍具合を試してきた。中でも、クロワッサンらしからぬシャリシャリしたアイスのような食感で楽しめないものだろうかと思案した結果、25分から30分ほどの解凍で食すという結論に至った。それ以上解凍するとしっとりになってしまう。クロワッサンでこんな実験を楽しめるなんて、よく考えたら珍しい話だ。

それを更にグレードアップさせて、生クロをデセールのように楽しんでみたいという欲求にかられ、何がいいか思案し始めて数秒後には「ラム酒をかけて楽しむ」方法を速攻で思いついた。

Havana Club Anejo 3 anos


……そうして今日、ラム酒を買ってきた(笑)
修理した自転車が完全に回復したので、気分を良くして、涼しくなった16時過ぎからラム酒を買いに自転車を走らせた。
夕涼みに、手に握られたこのラム酒。帰りがけにどれだけ飲みたい衝動を抑えたか……。

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買ったのはHavana Clubのキューバ産「AÑEJO 3 AÑOS」。ハバナクラブ3年である。オーク樽で熟成されたラム酒。アルコール分40パーセント、750ml。ダークラムといった色合いではなく、ほぼホワイトラムに近い色合いだが、ハバナクラブのラム酒にはもう一種類ホワイトラムがあるので、こちらの方がダームラム扱いだろうか。

撮影する前に堪え切れずに一口飲んでしまった……。足りないのでもう一口。ふう。書くぞ。

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これを上からソースのようにかけて、ラム酒たっぷりで味わう。元から生クロにラム酒は利いているものの、個人的嗜好により更なるラム酒感アップを達成させた!

今まで口にしてきた中では、やや辛みがあり、風味はいくらか爽やかというか、濃いという感じではなく感じた。喉奥にフワーっとそよ風が抜けていくような味わい。ラム酒もワインのように、白いと辛みがあるのだろうか。生クロの白い生地にはホワイトなラムを持ってこようかと。利かせてあるラム酒はもっと濃い妖艶で深みのあるダークラムだったと記憶する。今回選んだラム酒が生クロに合うかどうか、さっそく試してみよう。

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ひたひたにかける。生クロは実は割とラム酒が控えめらしいから、このくらいかけても個人的には丁度いい。ラム酒が利いてる生クロにこれだけかけるから、ラム酒のダブル。ヘミングウェイ気取りでいこう。

生地をラム酒でひたひたにしたら、ナイフでクレーム・ダマンドを生地に付けて味わう。かつてこんなクロワッサンの楽しみ方があったろうか。

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こ……これは!(笑)
ヤバい。ヤバ過ぎる。3連休の中日にこのデセールはパンチがある!
試してよかった。

さあ、ジョギング行ってこよう。


[ Boulangerie Sous le ciel de Paris(ブランジュリー パリの空の下) ]

場所:東京都世田谷区上馬5-40-13
最寄駅:東急田園都市線「三軒茶屋」駅より徒歩10分。東急バス「若林3丁目」下車、徒歩1分。世田谷通り沿い、環七交差点交番の先。
営業時間:11:00-19:00(商品がなくなり次第終了)
定休日:日、月、火曜

posted by 照乃芯 at 23:07 | パリ | Comment(2) | TrackBack(0) | パリの空の下 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月17日

上馬/Boulangerie Sous le ciel de Paris パリの空の下(58):タルト・リュバーブ・フレーズ

タルト・リュバーブ・フレーズ:Tarte Rhubarbe Fraise

出すのが遅くなってしまったけど、これは以前、「一日限定」で並んだタルト。リュバーブを忍ばせた淡い軽やかなクレーム・ダマンド・ピスターシュ。おそらくマラ・デ・ボワのものかと思われるピュレにイチゴ。よく立ち上がったフイユタージュにはションソン・ア・ラ・パリジェンヌのものを使用。一番下でローズが香りの器として支える。フイユタージュの間からローズの香りが放たれるかのような、通気口のようにさえ見えてくる。リュバーブとローズの香りが口の入った途端、気品のある香りが口に広がる。

タルト・リュバーブ・フレーズ:Tarte Rhubarbe Fraise


ションソン・ア・ラ・パリジェンヌの時にはあまり感じられなかった、この食感のある十分な量のリュバーブとフイユタージュ・ローズが合わさった香りと味わいがとても良かった。そしてここにあった淡い軽やかなクレーム・ダマンド・ピスターシュも重要な役割があったと今にして思う。最初に舌に触れるのがフイユタージュ・ローズというのが大きく感じられた。まず味わいでロゼを感知し、噛むことで空気が入り、ロゼに触れ、混じり合い、下から香りが立ちこめてくる。

大きい粒が乗ったイチゴはビジュアルとしても味わいとしても存在感を主張するものの、スパイスのポジション?とでもいうようなアクセント的存在に近いものを感じた。むしろこのタルトはフイユタージュ・ローズとリュバーブ入りクレーム・ダマンド・ピスターシュでかなり完成されていたように感じた。……いや、イチゴが最初に口に入って来たからこそなのだろうか。しかし、先に舌(下)に触れるのはフイユタージュ・ローズとリュバーブ入りクレーム・ダマンド・ピスターシュ。個人的にはイチゴ抜きで十分素晴らしいと感じた。

明日アップする予定のリュバーブのタルトは奇しくもイチゴのないリュバーブとロゼのタルトになっている。

一発のひらめき。

レストランやパティスリーなどでも「シェフのきまぐれホニャララ」みたいなその日限り的なものに出会うことがあるが、時としてアドリブ的アイディアの中からも良作って生まれるんじゃないかと。一発のひらめき。一度作り上げたルセットを崩して、その場の感覚で新たに構築してゆくというか。キュイジニエ的発想というのだろうか、こういうのを。違うか。これを「一発芸」と呼ぶにはあまりに味わいが良かった。

このタルトはまた並んでほしいというのが本音。
一日だけしか並ばなかったタルトだからこそ、儚く美しいのかも知れない。

このタルト・リュバーブ・フレーズを味わい終えた翌朝には、その香りの記憶だけが枕元に残った。
でも、叶うならもう一度逢いたい。

[ Boulangerie Sous le ciel de Paris(ブランジュリー パリの空の下) ]

場所:東京都世田谷区上馬5-40-13
最寄駅:東急田園都市線「三軒茶屋」駅より徒歩10分。東急バス「若林3丁目」下車、徒歩1分。世田谷通り沿い、環七交差点交番の先。
営業時間:11:00-19:00(商品がなくなり次第終了)
定休日:日、月、火曜

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2010年07月16日

特集:『パリの街角から』その4〜クイニーアマン(パリの朝市から)

クイニーアマン:Kougin Amann

短期集中連載の『パリの街角から』シリーズその4(最終回)はクイニーアマン。これも戴きもののクイニーアマン。
今回のクイニーアマンは、パリ某区、某広場で毎週開催される朝市で売られていたもの。ブランド名や店名は失念。

クイニーアマン:Kougin Amann


写真は、珍しくケータイでのもの。4年前の秋にすでに1年落ちモデルとして買ったケータイでの撮影にて、重ねがさね画質はご勘弁を。

一応いいわけを済ませたところで、早速本題へ。直径20cmくらいはあったろうか。ファミリーサイズだ。シェアしたのでその場で1カット食べ、更に大きめな1カットを持ちかえって改めていつもの甘時間チックに撮影。一番下の写真は自宅にて撮影分。


生地は東京でよく見かけるものとは違って密度があり、キュッと締まってる。ずっと薄い。カタネベーカリーで食べられるクイニーアマンが確かこのくらい薄いもので、ブルターニュ風といった雰囲気だった。生地とバターの香りがたっぷり伝わってくる。香りと味わいから判断するに発酵バターじゃないだろうか。バターの香りがまるで違うな。

クイニーアマン:Kougin Amann


何と違うか?東京で食べたことがあるものと違う。香りも甘さも、違ってる。上手く言葉にしづらい……。これはもう、食べないと説明のしようがない。口に入れた瞬間の香り、風味。濃度が違う感じといえばいいだろうか。クイニーアマンとしての出来というのではなく。

困惑させられ、言葉が出なかった。よく話を聞くことが今まであった。「素材が違う」と。フランスで食べることができる味わいの一つがこれなのか……。それがトップクラスかスタンダードクラスかが問題なのではなく、これはパリのごくありふれた「普通」ってことだろう?高級でも何でもなく。「普通」の基準線が東京とまるで違ってるじゃないか…。

これを「普通」にしていられるというのは、経験の差として大き過ぎる。あくまで自分自身の問題として、ここでは限定して書くけども。向こうの「普通」を知れば知るほど、なんか……。この先自分にどういう毎日が待ち受けているのか、知りたい気持ちと知って抱く感情に対して、好奇心と恐怖がほぼ同時に心に居着いてしまったような。

クイニーアマン:Kougin Amann


どこか……東京のどこかでクイニーアマンをまたあちこち食べてみよう。近いものを感じられる店がせめて幾つか存在しないと、この空の向こうへ行って帰ってきた時に、どうすれば良いのか判らなくなる可能性があるのが一番怖い。

少し落ち着いて書こう__。よく巷に溢れるクイニーアマンとは違って、郷土菓子的なルックスで、ガリガリなキャラメリゼはなく、砂糖は全体にかかっているものの、ジャリっと感はない。ブルターニュの薄くて大きな大きな大きなクイニーアマンよりは多少控えめな感じ。

あと数ヶ月後にこの空の向こうへ行く前に知っておけたのは良かったのかも知れない。
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