2007年のパリ市主催バゲットコンクールのチャンピオン(1er du Grand Prix de la Baguette de Tradition Française de la Ville de Paris 2007)として、かつてフランス大統領官邸(エリゼ宮)からの注文のために一年間お菓子などを収めていたことから、エリゼ宮シリーズ(Pour Paiais de L'Elysée)と銘打って展開されているアントルメの一つで、数ヶ月前の2月中旬に予約してあったシブストを受け取ってきた。

お店に足を運ぶ多くのお客さんがオーダーする通常展開のアントルメとは違って、前回のパリ・ブレスト同様一点ものの特注アントルメであったため、やはり値は張った……。今年に入ってからあまり他のお店には足を運んでないので何とか予算は取れたものの、まあ、これはさすがに今回限りということで。
溢れる太陽。降り注ぐ陽射し。夜の公園の小さなベンチの上にある街灯のような存在でいられればそれでいいと思ってきた自分を照らすのは月明かりだけ。昔からそんな風にずっと思ってきた。
でも、ここにあるのは溢れんばかりの陽射し。太陽。ならば、ここに空を作ろう。水面に映り込む月明かりのように、この場に空と太陽を。東京の空の下で、まるで映し鏡のように。

トゥルトは、かのジェラール・ミュロの造語で、背の高いタルトを意味している。おそらく塔などを意味する場合のtourと、タルトtarteを掛け合わせた言葉。
クレーム・シブスト・マングに、マングとフランボワーズ入りのアパレイユ。えぐみなどもなく、マングの大らかさにキレを含ませるフランボワーズの立ち位置。いい香りのする生地は噛むと美味しさが凝縮されており、卵のような香りもあれば、底の方をよく味わいながら噛んでいるとチョコにも似たような風味が口の中を追いかけてきた。
クレーム・シブスト・マングは密度がありながら、口溶けが滑らか。臭みもなく、スッと入って行く。生地は厚くなく、アントルメシリーズの中では、シャルロット同様、かなり食べ進められる。とはいうものの、今月二度目のアントルメは、一人ではなかった。


甘時間〜東京の空の下、アントルメを囲む午後。
ようやく、本当にタイトル通りのブログに辿り着いた。美味しいものは一人でも何人でも美味しいかもしれない。しかし、自分が触れたかったのは、こんな時間。同じ味わいを理解する人たちとともに分かち合う、そんな時間。これが本当の意味での甘時間じゃないかと、思い続けてようやくこの日、実現した。

ウチを出る前から、電車から車窓を眺めてる時から、そしてシャンパーニュを汲み交わした瞬間から、もうこの甘時間は始まっていた。この日関わってくれた全ての人たちが、この時間を共有してくれた。僕がやりたかった甘時間は、こんな時間のこと。ここでなら可能だと、ようやく辿り着いた。ありがとう。これからも、この時間を。

最後の締めは、フィナンシェの金塊積みで。
[ Boulangerie Sous le ciel de Paris(ブランジュリー パリの空の下) ]
場所:東京都世田谷区上馬5-40-13
最寄駅:東急田園都市線「三軒茶屋」駅より徒歩10分。東急バス「若林3丁目」下車、徒歩1分。世田谷通り沿い、環七交差点交番の先。
営業時間:11:00-19:00(商品がなくなり次第終了)
定休日:日、月、火曜(4月からは完全週休3日へ)
場所:東京都世田谷区上馬5-40-13
最寄駅:東急田園都市線「三軒茶屋」駅より徒歩10分。東急バス「若林3丁目」下車、徒歩1分。世田谷通り沿い、環七交差点交番の先。
営業時間:11:00-19:00(商品がなくなり次第終了)
定休日:日、月、火曜(4月からは完全週休3日へ)