2010年01月14日

目白/Aigre Douce(92):冬のケーク・オー・フリュイ

冬のケーク・オー・フリュイ:Cake aux Fruits d'Hiver

去年11月に食べた冬バージョンのケーク・オー・フリュイ。1600円。苺、いちじく、レーズン、木苺、ブルーベリーなどがトッピングされたもので、どれもドライフルーツ。冬らしい雰囲気が漂う。ようやく東京も冬らしくなったので、タイミングを合わせて掲載した。

Cake aux Fruits


11月にはすでにショーケースに並んでいたから、冬のケーク・オー・フリュイが並ぶのは11月頃からと考えていいと思う。「冬しか逢えない」というのは、大好物の明治製菓『ポルテ』のかつてのCMキャッチコピーだったが、今はほぼ同じキャッチコピーが『ホルン』に使われている。数日前にその二つを食べたので、ふと書いておきたくなった。

Cake aux Fruits


おそらくエーグルドゥースのケークの中で季節バージョンがあるのはこのケーク・オー・フリュイだけかもしれない。生地の上面片側にはシュガーパウダーを振ったアーモンドスライスが並んでる。エーグルドゥースではよく見るアレンジ。ココアパウダーでほんのり褐色に色づいている生地には軽くシナモンの風味が。通年のケーク・オー・フリュイよりもこっちの冬バージョンの方が見栄えも味も気に入ってしまった。

Cake aux Fruits


シナモンに限らず、スパイシーなフレーバーをチョコに合わせる、例えばコショウをチョコに合わせるというのはピエール・エルメに見られる合わせ方としてお菓子好きの人も知ってる方が多いと思う。

そして、今年2010年の『サロン・デュ・ショコラ』(新宿伊勢丹にて1月27日水曜日〜2月1日月曜日、本館6階催物場にて開催)ではコンフィチュールの妖精クリスティーヌ・フェルベールが今年はコショウを使ったショコラを出品するという。アルザスではこういう組み合わせをするのだとか。……どうりでピエール・エルメがコショウを使うわけだ。かつてガストン・ルノートルに怒られたというコショウ使いのショコラのルーツは生まれ故郷のアルザスに。

ピエール・エルメは(古典のブラッシュアップも含めて)伝統的な仕事をする一方で奇抜なアイディアを表現する側面もある印象の天才的職人だが、あらゆる創作は突拍子もないところからイメージされたわけではなく、育った郷土の慣習を生かした結果だったということになる。そういえばバニラ使いもフェティッシュでよく見られるが、あれもアルザス的のようだし。

つまり、スパイシーな風味とショコラ(あるいはカカオというべきか)の組み合わせはアルザス的と考えられる。エーグルドゥースは常々パリというよりきっとアルザスなお店なんだろうなと心の隅で感じてきたけど、ケーク・ア・ラ・ヴァニーユが出たあたりから僕の中で感じられ始めたエーグルドゥースのバニラ使いを始めたことにおけるピエール・エルメっぽさは、やはりエルメというよりもアルザス的だということだろう。

去年の春にはキャネル・フレーズという、これもまたシナモンとチョコの組み合わせからなるケーキを食べた。秋から冬にかけてトルシュ・オ・マロンが作られるところも、ショーケース上に常にクグロフが置いてあるところも、やはりどこかアルザスだ。店の外観は淡い緑に塗り替えればラデュレのボナパルト店っぽく見えるけども、精神的にはアルザスなんじゃないかと、僕は感じてる。パリでもアルザスでも、修業した場所の思いが出てるのはイイなと思う。

Cake aux Fruits


さて訪問当初はケーク・パン・デピスを買いたいと思っていたのが、その時にはなかったのでこの「冬のケーク・オー・フリュイ」のみの購入にとどめた。クグロフもショコラ以外にもう一種類フレーズ風味があったような気がしたが、見つからなかった。いつ見たんだったっけ。冬か春に見たような記憶がある。今度行った時の楽しみにしよう。

それにしても、相変わらずエーグルドゥースのケークは華がある。パウンドケーキがこれほど主力商品なお店もなかなか見当たらない。これだけ気軽に一本買わせるというのはすごいことだ。

[ Aigre Douce(エーグルドゥース)*参考サイトです ]

場所:東京都新宿区下落合3-22-13
最寄駅:JR山手線「目白」駅より徒歩5〜6分
営業時間:10:00-19:00
定休日:水曜日(祝日の場合は翌日休業)

posted by 照乃芯 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | エーグルドゥース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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