ギャレット・デ・ロワ:Galette des Rois東方からの三賢者によってキリストが神であると認められ、この世に神が現れたことが公になった日のことを公現節といい、その日を祝ってフランスで食べられ続けているのが、このガレット・デ・ロワ。
東方の三賢者はそれぞれバルタザール、メルキオール、カスパーだが、これはフランスやキリスト教に詳しくなくても、『新世紀エヴァンゲリオン』が好きな人なら聞いたことがある名前だと思う。特務機関ネルフを支えるスーパーコンピュータ「マギ」システムに名付けられた三つのコンピュータの名前だ。ま、今エヴァ談義をするわけにはいかないんだけども。エヴァ好きな人がガレット・デ・ロワにハマるかどうかはさておき、まずはガレット・デ・ロワですよ。
この三賢者の来訪をイメージしたイラストが入った紙バッグにガレット・デ・ロワを入れてもらえるのが、パリの空の下。フランスから取り寄せたのだそうだ。今月3個目のガレット・デ・ロワ。パリの人は一ヶ月間で一体何個食べるんだろう。張り合おうというつもりじゃないけど、今年はよく食べた。去年までは一個が限界だと思ってたけど。そういえば、今月は生菓子を食べた記憶がない……(笑)
金色にスプレーされた生地。このフィユタージュの立ち上がりが素晴らしい。ここまで立ち上がるからこそ、表面のクープもただの模様では終わらない。…力強い。すごくいい表情してる。ショーケースの上に飾られていた瞬間からどうにも堪え切れない感情の高まりがあった。実物を見てこの立ち上がり方に、僕は静かに心の中で感嘆した。
巴シェフの焼くパイ生地がすごく美味いのは、初めてパリの空の下へ行った時に食べたナポリテーヌですでに判ってたとはいえ、改めて美味い。パイ生地とシュー生地を食べれば職人の腕が判るけど、ナポリテーヌを食べて巴シェフのパティシエの腕は確かだと思ったが、年が明けてこのガレット・デ・ロワを食べてる今でもその評価は何も変わらない。
使ってるアーモンドはスペイン・マルコナ種。アーモンドの香りがたまらん。
僕ら日本人はこの味に触れた時、「杏仁だー」と感じる。いつも思うのは、フランスのパティシエは杏仁というものを知ってるだろうか?ということ。
初めてピエール・エルメのピスターシュの使い方に出会った時、「ピエール・エルメは杏仁まで知ってるのか。あちこちにアンテナ貼ってんだな…」と思ってしまった(笑)
ひょっとしたらピエール・エルメもまだ杏仁のことは知らないかもしれない。僕らが「杏仁だー」なんて呟いてることも、多分まだ知らないかもしれない。彼らが杏仁を味わったらどんな反応を見せるんだろう…なんて思うとニヤついてしまう。
このクレームダマンドは帰宅後すぐでも美味しかったが、残り数カット分を夜9時過ぎに食べたら、もっと舌にまとってくるような甘味が重なって、寝かせた味になっていて美味かった。
パリの空の下のフェーブ:Les Féves de la Boulangerie "Sous le ciel de Paris"パリの空の下のガレット・デ・ロワから出て来たのは、「BAGUETTE」。ブランジュリーらしいフェーブがでてきた。バゲット2本と小麦粉の袋。僕はガレット・デ・ロワと一緒にバゲットも買って帰ったし、この記事を書いてる時点でバゲット(さらにクロワッサンも一個)はすでに食べ終わっていたから判るのだけど、一つ驚いたことがある。
パリの空の下のバゲット(バケット)を食べたことがある人なら、この写真のフェーブになっているバゲットを見て何かピンとくる箇所がないだろうか?
…そう。パリの空の下で焼いてるバゲットはこのフェーブの色と同じ生地の焼き色してる。
シェフがくれた小さな贈り物:Les petits cadeaux que le chef m'a donné赤いのが、見ての通り
Arnaud DELMONTELのフェーブ。そして、ピスターシュ(かな?)と勾玉の形をしたフェーブが
Gérard Mulotのもの。そして、Choco Missと書かれたウサギのフェーブ2種。これもArnaud DELMONTELのものらしい。貴重なものを貰った…。いずれも巴シェフに頂いたもの。嬉しかった。本当にありがとうございました! ずっと大切にします。