2009年04月16日

成瀬/Aux Petits Gourmands(29):ロレーヌ

Lorraine


オー・プティ・グルマンで念願だったクロワッサンに小躍りする心の向いてる反対側でキラっと光るフランス郷土菓子が、矢庭に視界に入ってきた。ネームカードに「Tarte Lorraine」とフランス語表記された、ショーケース上に並ぶ10個前後のフランス地方菓子の一つだった。説明文に目を落とすと「ミラベルを入れて焼いた菓子」とあった。…来た。ミラベルだ。

フランス菓子屋の店内でミラベルの文字を目にするのは待ちに待ちわびた二度目のこと。

ロレーヌといえばキッシュ・ロレーヌ、それにロレーヌ産岩塩が有名。ミラベルはロレーヌの名産物。プラムの一種で、黄色い果実。都内のパティスリーではこれを使ったお菓子に出会うことは何故かほとんどない。

ミラベルを使ったお菓子を並べているのは、自分の知る限りレピキュリアン(のタルト・ミラベル)パティスリー サロン・ドゥ・テ アミティエ(まだ未食かつ月替わりの限定タルト。公式サイトで確認済み)、そしてこのオー・プティ・グルマンの3店だけ。いずれもタルト菓子。コンフィチュール(ジャム)ということでは伊勢丹新宿店で買えるクリスティーヌ・フェルベールも。

もっと増えないかな、ミラベルを使ったお菓子を並べるパティスリー。パティスリー・ミラベルなんて、絶対にこだわりのミラベル菓子を作っていてほしいお店なんだけど。

○ロレーヌ - Lorraine - (\280)

このロレーヌは丸い型で焼かれたタルト生地にカスタードをたっぷり流し込み、真ん中にミラベルを入れて焼き上げたお菓子。中は柔らかく、まるでファー・ブルトンのよう。美味い菓子だ。

以前食べたレピキュリアンのタルト・ミラベルはアプリコットのようなナパージュがかかっていたからもっと赤味があるのかと思ってたら、オー・プティ・グルマンのミラベルは割とオリーブっぽい色をしている。何かでコンポートしてあるのかもしれない。

とにかくミラベルを使うお店の一つに、大好きなオー・プティ・グルマンが加わったというのは嬉しい。また一つ自分の中でお気に入り度が上がった。まとまった量を確保するのが困難な素材なのか、それとも別の理由があるのか詳しくは判らないけど、きっとミラベルっていうのは日本のパティスリーでは無理して使おうとまでは思わない素材なのかもしれない。

それでもミラベルを使ったお菓子を並べるというのは、それだけでフランス郷土菓子への夢中な愛着を感じさせる。ただレシピのメモを取りに出かけたのではなく、文化に触れてきたんだということが云わずとも伝わってくる。オーブンの前にいるシェフも、手にとって頬張る自分も、この菓子を介して醒めることのないフランス郷土菓子の熱に当てられているのだな、と。

[ Pâtisserie Française Aux Petits Gourmands(パティスリー・フランセーズ・オー・プティ・グルマン) ]

場所:東京都町田市南成瀬4-1-15-1F
最寄駅:JR横浜線「成瀬」駅北口から徒歩4分。
営業時間:10:00-20:00
定休日:火曜日(祝日の場合、営業。翌日に休業)

posted by 照乃芯 at 00:07 | Comment(8) | TrackBack(0) | オー・プティ・グルマン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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