2006年04月06日

和泉多摩川/Pres de la Riviere(1):ミルフィーユ、ポム・ド・テール、シャンプノワーズ、いちごのショートケーキ

日曜日の午後も3時を回ろうかという時分に、やや霧雨に近い雨が降る中、意を決して和泉多摩川のプレ・ドゥ・ラ・リヴィエールへ行ってきました。代官山のイル・プルー・シュル・ラ・セーヌで修業された矢代シェフのお店です。1988年に今のお店を開業されたという事は、イル・プルーで修業されたのはもう随分と前の事になるのですねえ。イル・プルーが代々木上原にあった頃でしょうか。

今回は代々木上原から小田急線に乗って「和泉多摩川」で下車。この駅は急行は停まりません。次の登戸まで急行に乗って行ってしまって、各駅で折返すか、成城学園前で各駅を待つかしてください。

到着後、改札を出ると、東口と西口になってるんですが、ひとまず階段を降りて東口から出ると見せかけて後ろを向くと南口の狭いスローブがあるので、そこを降ります。モスバーガーの横ですね。その南口から出て、道幅の狭い商店街を進みます。途中、一件のパティスリー(Patisserie MISAKI)がありますが、ひとまず先へ行きましょう(笑)

その商店街を抜け切ったら右に折れ、銀行の横を左へ。突き当たりにある野菜の無人っぽい直売所のところをを右に曲がってまっすぐ。まさかこのお店かな…と恐る恐る覗いてみると、まさにそこがプレ・ドゥ・ラ・リヴィエールでした。

…ぐっ、ち、小さい。扉を開けてすぐにショーケース。前に立ったらもう誰も入ってこれません。右のわずかなスペースに焼き菓子があり、細い椅子がありますが、まあ気休めでしょう(笑)

お店は矢代シェフが一人で切り盛りなさっています。普段は厨房にいらっしゃいますが、大丈夫です。入り口の扉を開けたらカランカラン、って音が鳴るので、矢代シェフの耳にすぐ届きます。

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というわけで、以下コメントです。よろしく哀愁のカサブランカ。

presdelariviere_millefeuille.jpg


○ミルフィーユ - Mille Feuille -(\367)

大きさは、小振りです。レピキュリアンのミルフィーユをイメージしていただければ、ほぼ正解です。いや、若干大きいかな。といっても微々たるものでしょう。特に装飾はなく、ノーマルなプレーンタイプですね。パイ生地は、上面だけですが、しっかりとカラメリゼされてあります。

カスタードの濃さはまあまあ。すごく濃いわけではないですが、バニラもほどよく効いてるし、色は濃厚な雰囲気。

presdelariviere_pommedeterre.jpg


○ポム・ド・テール - Pomme de Terre -(\367)

名前の意味は「じゃがいも」。ジャガイモを使ったホワイトチョコとシャンティーのケーキです。じゃがいも、というところが非常に興味をそそられました。珍しいし、面白い。ネームカードに「じゃがいも」の文字を見つけた瞬間にピンときて購入を決定しました。

…そういえばラ・プレシューズにもイモを使ったパタート・ドゥースというケーキがあります。あちらは「じゃがいも」ではなく「さつまいも」を使っています。パタート・ドゥースも自分にはスマッシュ・ヒットでした。

ラ・プレシューズのパタート・ドゥースは「さつまいも」ですから、ホワイトチョコはあくまで脇役、甘さは「さつまいも」に依るところが大きいケーキです。しかし、プレ・ドゥ・ラ・リヴィエールのポム・ド・テールは「じゃがいも」。ジャガイモ自体には特に甘みはないですから、この場合「イモ」の食感にフォーカスしたんだと思います。甘さはホワイトチョコムースが請け負う、という役割分担でしょう。

上にホワイトチョコのスライスがまぶされていて、その下に控え目なシャンティー、ジャガイモは薄くスライスされています。マッシュポテトにせずに食感を残すようにした辺りがナイス判断。土台はビスキュイです。ちょっと歯応えのあるクルミっぽい、一瞬粒々でシャリっとした食感焉B

じゃがいもはさほど滑らかにしてある風ではなく、量はさほど多くないけど食感が楽しめます。この舌触りが「じゃがいも」なんだなと思います。滑らかにしてしまう事で「じゃが」らしさを消さなかった矢代シェフはナイス判断だと思いますね。何かを伝えようとしているのが判る。こちらを選んだのはアリだと思います。むしろ、こういう事してくれる人を僕は待ってました。

「さつまいも」はすでにスイートポテトで洋菓子デビューを飾り、その存在を認知されている分、何となく可愛らしさすら伴った役得な印象があります。スイートポテトという肩書きなら都会でも容認される。が、「じゃがいも」はやや不格好で洗練されたイメージはありません。どこか田舎っぽいし、土着的な雰囲気。

現代のケーキ、において「じゃがいも」は「さつまいも」に対して少し分が悪い。ように見えます。

……しかし、僕は「じゃがいも」が好きです。そして、「じゃがいも」を選んだ矢代シェフの勘、あるいは感覚、といった部分に対して大いに敬意を表したい、今そんな気分です。僕の予感が間違いでなければ、このお店はかなり見所のある洋菓子店じゃないかと思っています。矢代シェフはフランス菓子を愛してらっしゃると。洗練と土着の間のジレンマがある。

その訳は今度エーグルドゥースに行った時にここで説明したいと思います。

とにかく、このケーキはプレ・ドゥ・ラ・リヴィエールの極私的一押しです!

presdelariviere_shortcake_champenoise.jpg


○シャンプノワーズ - Champenoise -(\420)

シャンパンのムースを使ったロールケーキですね。実はロールケーキはあまり得意ではなく、これを克服できるかどうか見極めるために、GW開けあたりからロールケーキシリーズを開始しようかと思っていました。

ネームカードには「お子様にもだいじょうぶ」と添え書きされています。このケーキは420円ですが、多分このお店の中では一番高い部類に入るケーキです。これ以上高いケーキは、あったかどうか判らなかったくらい。家元イル・プルーでは「トランシュ・シャンプノワーズ」として出されているケーキ。見た目も一緒です。あちらは682円ですか。うわー高いなー。味はどうなんだろ。近いうちに行ってみましょうか。

さて、ケーキの説明。バタームースの内側にスポンジ、その内側、つまり中心にシャンパンムース、ムースの中には煮たリンゴか桃かな、それとフランボワーズですね。土台にはシャンパンを染み込ませたビスキュイですか。外側はチョコレートで厚めにコーティングされてあります。

シャンパンの味は決して強くなく、これなら本当に子どもでもイケますね。家元イル・プルーのトランシュ・シャンプノワーズは割と強めに効いてるらしいです。これも食べ比べをしておこうかな。

ちなみに、このケーキは自分が買った時に最後の一個でした。ちゃんと支持されてるケーキなんだなと思って安心しちゃいました。

○いちごのショートケーキ - Short Cake -(\367)

ミルフィーユの次に目当てにしていたケーキ。このいちごの風味がいいんです。いちごを感じさせてくれるショートケーキです。

スライスしたイチゴのコンポートが上面に隙間なくビッシリと敷かれています。その上からいちごジャムがかけられていますね。すぐ下はシャンティー、スポンジは2層ですが、上部のスポンジは割と分厚いですね。それぞれ上面にシロップが打ってあります。

一口食べると、やっぱり上面のいちごの存在感がしっかりと広がってきます。昨日(4/1の土曜日)、フラウラで買ったショートケーキもいちごの存在感は強かったですが、最初の舌触り、あるいは食感、風味という意味ではプレ・ドゥ・ラ・リヴィエールのショートケーキの方が上かも知れません。ただシャンティーの質はフラウラが上。とはいえ、いちごの風味を愉しむのがショートケーキだという信念に基づくなら、シャンティーの質における両者の差はまず気にならないレベルじゃないでしょうか。

あっちが483円、こっちが367円。いちごメインのショートケーキ好きとして悩める問題です。自分の最寄りの代々木上原駅から210円で和泉多摩川、あるいは渋谷へ徒歩で出て東急バスで210円のフラウラ。交通費はどっちも変わらないんですが、どっちもいちごの主張は面白いんです。種類の豊富さでいえばフラウラに軍配が上がりますが…うーん、この次食べられると想像したら……プレ・ドゥ・ラ・リヴィエールかな? ずっと低コストなんでリピート間隔はこっちの方が短いでしょうね。


とにかく、店のファサードが色あせてるとか、そもそも小さいとか、台風が来たら吹き飛ばされそうだとか(笑)、そういう印象は一旦脇に置いといて、こちらのケーキを心の隅でいつも覚えておきたい、そんな印象です。

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(今回の総評)
日曜日は雨が降ったせいで、ここのケーキを多摩川の土手で桜をバックに撮影し、そのまま土手を歩いて二子玉川まで散歩する、という計画はものの見事に頓挫してしまいました。

しかし、その悪天候の中、足を運んで大正解でした。一ヶ月〜二ヶ月のリピート、セレソン(ローテーション)入り決定です。今回選んだ4つのケーキはどれもハズレがありませんでした。これは大きいですね。あんだけしか種類がないのに、4つとも美味しかったというのは、奇っ跡っ、だねっ(笑)←このネタやるピン芸人の名前が思い出せません。

値段もほぼすべて367円で統一されている感じでいいっすよ。ショーケースが小さいんで、ホールケーキで食べられるのはどれとどれなのかよく判らないんですが、今回買ったケーキはどれもホールで食べたくなりました。

素晴らしい洋菓子店の多くは東京23区に集中している事が多いですが、この多摩川の川べりに、こんなに素敵なパティシエがいる事を忘れてはいけないと思いました。

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プレ・ドゥ・ラ・リヴィエール(Pres de la Riviere)

場所:東京都狛江市猪方3-28-19
最寄駅:小田急線「和泉多摩川」駅南口より徒歩6分
営業時間:10:00-20:00(日曜・祝日は〜19:00)
定休日:木曜
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2006年04月05日

曙橋/LA VIE DOUCE(2):バッカス、ショコラ・ダックワーズ

4/4までの一週間、新宿伊勢丹のマ・パティスリー(週替わりで登場するパティスリー。話題のお店が出てくる事が多い)でラ・ヴィ・ドゥースが出店しているのを先月中頃から仕入れていたので、日曜日の夕方、和泉多摩川のプレ・ドゥ・ラ・リヴィエールへ行った帰りに寄ってみました。

前回、曙橋の本店で3つほどケーキを買ったのですが、このお店のスペシャリテであるバッカスをあえて2回目の愉しみとしてスルーしていました。なんか、そういうところがあるんです。次への動機って結構大事にしたい。最初の印象で良かったものだけ最初に買ってしまうと、それっきりになりそうな気がしてしまうので…。

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では以下コメントです。よろしく哀愁のカサブランカ。

laviedouce_bacchus_chocolat_dacquoise.jpg


○バッカス - Bacchus -(\399)


帰りの雨風があまりにもすごかったんで、箱の中で横倒しになってしまったようで、上面のチョコが二つほど箱の側面にこびり付いてしまいました…。他にも取れてしまったものがあって、それは手作業で修復できましたが、箱に付いた二つは潰れてしまいました。orz

なんか前回に続いて運というか巡り合わせが良くないんですよね、ここ。プレ・ドゥ・ラ・リヴィエールで買ったケーキも一緒に持ってたんですが、あっちは雨のせいで紙袋がひしゃげてしまって、大変でした(>_<)

さて、チョコとオレンジの風味は本当に美味しいです。評判なだけあるなと思いました。少しお酒も効いているようで、とても愉しめます。チョコも甘いだけではなく、ほのかに苦味が伝わってきます。苦味の愉しみを教えてくれたのはこのお店なので、やっぱり嬉しいですね。

ただ、苦味だけでいうなら、以前食べたカテリーヌの方がインパクトは強かったです。

○ショコラ・ダックワーズ - Chocolat Dacquoise -(\147)


通常のアーモンド風味のダックワーズよりも、このダックワーズの方が好きですね。生地にチョコを練り込んであるだけではなく、ガナッシュも挟んであります。ラ・プレシューズのダックワーズと同じくらい好印象を持ちました。これから、もっといろんなフレーバーを試してみるつもりです。

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(今回の総評)
とりあえずバッカスを食べてから考えよう、と思っていたところへマ・パティスリーに登場という事でいいタイミングだったなと思いました。

前回、曙橋の本店へ行った時は、接客面で残念な経験をしてしまったので、もし今回のチャンスを逃したら、ちょっと当分行きそうになかったんですね。

ところで、今回のマ・パティスリー、バッカスは自分が買ったので最後の一つでしたが、フレジェが結構沢山余っていました。フレジェはラ・ヴィ・ドゥースの生菓子の中ではベスト3に入るお勧めの一つと言っていいと思うんですが、意外というか何というか。しいて買うならバッカス買うけど、今回がマ・パティスリー初というわけではないから目新しさがなくなったんでしょうか…。余裕があったらフレジェも買っていきたかったな。可愛らしいんですよね、あのケーキ。

ひとまず、次回の予定はまだ未定ですが、夏頃にでも行こうかと思っています。

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ラ・ヴィ・ドゥース(LA VIE DOUCE)

住所:新宿区愛住町23-14 ベルックス新宿ビル1F
最寄駅:都営新宿線「曙橋」駅下車、徒歩3分
営業時間:10:00-20:00、10:00-19:00(日・祭)
定休日:月曜日
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posted by 照乃芯 at 01:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | パティスリー(未分類) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月02日

渋谷/VIRON(1):クロワッサン、クイニーアマン

突然ヴィロンに行きたくなったので、土曜日の午後、というかもう夕方でしたが、世田谷のフラウラへ行った帰りに立ち寄りました。

で、更に今日は雨と風の中、和泉多摩川のプレ・ドゥ・ラ・リヴィエールや新宿伊勢丹のマ・パティスリーにも行ったので、フラウラのエントリーその他は、今日はとても間に合いそうにありません。というわけで、それらはまた後日。。。

さてヴィロン。ここはフランスのヴィロン社と提携して、レトロドールという小麦粉を使ってパンを焼いてるお店です。今回は2つだけ、割とポピュラーなものを選んで買って帰りました。今日、新宿三越アルコットの地下をブラブラしたら小麦粉を見つけたのですが、どうやらパン用強力粉と書かれていて、お好み焼きには使えなさそうだなと思ったんですが、レトロドールもやっぱりダメでしょうか。私の粉ものライフはいずこへ。

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それでは以下コメントです。よろしく哀愁のヨーロッパ。

ヴィロンのクロワッサン、クイニーアマン

○クロワッサン - Croissant -(¥220)

かなり大きいです。他所のお店だと160円とか150円とかですが、これは220円でも納得。でも、レトロドールの小麦粉を空輸し、更にこんなに大きくて220円でいいのでしょうか。→いいんです。

袋を開ける前からいい匂いがしてきます。表面はそれほど強く焼き目を付けてはいないですね。

口当たりは柔らかく、一瞬サクサクしてはいますが、かなりホロホロと崩れてしまうのと、中は柔らかいので表面と中の強弱はそれほどないです。それが唯一ちょっと残念でした。いい粉を使っている、という部分以外、訴えてくるものがやや弱いかな。バターもこだわっているようだけど、もうちょっとクセがあってもいいかな、と思うのは完全に個人的な好みです。これはこれでいいと思います。

○クイニーアマン - Kouign Amann -(¥230)

グラニュー糖をカラメリゼした表面が美味しいですねえ。どっちが表か裏か判らずじまいだったんですが、どうなんでしょうか。

中までしっかりサクサクとしていて、ザックリと歯応えも感じる。クロワッサンよりもこちらの方が食べていて愉しくなってきます。これならまたリピートしますよ。ただ、他の店のクイニーアマンを食べてどういう評価になるかはまだ判らないです。パン屋を見つける度にクイニーアマンを探してしまいそうになります。

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(今回の総評)
今回はミルフィーユがなかったので、ケーキは買いませんでした。他のは…、なんか意欲が湧かないラインナップでしたね…。小麦粉を愉しむならパンにしとくべきでしょうね。

焼き菓子が置いてあるテーブルの下にレトロドールと思われる大きな袋があったのですが、これは絶対に単なるインテリアだろうなと思って、「小麦粉そのものは販売してないですか?」と訊くのは止めました。

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ヴィロン(VIRON)
住所:渋谷区宇田川町33-8 塚田ビル1・2F
営業時間:9:00-22:00(2Fのブラッスリーは24:00まで)
定休日:無休
最寄駅:JR渋谷駅よりハチ公前交差点を渡って109の先、文化村通りをまっすぐ。東急本店斜向い。
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posted by 照乃芯 at 23:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ヴィロン(パン含む) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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