2006年04月28日

新宿伊勢丹/A.Lecomte(1):タルト・シトロン、シュー・ア・ラ・クレーム、タルト・フレーズ

昨日はせっかくの誕生日だったので平日だけど伊勢丹に寄ってケーキを買ってゆく事にしました。といってもデコレーションケーキではなく、プチガトーを幾つか。

伊勢丹地下のジャン=ポール・エヴァンの向かいにあったル・コントですが、4月2日を持って移転、マ・パティスリー脇の、普通のショーケース展示店になってしまいました。喫茶も閉店していました。あそこ、なんか工事するみたいですけど、何が入るんでしょうね。わざわざル・コントを追い出すくらいだから少し期待しているのですが。

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以下コメントです。ちょっとヨロシク。
*今回は税抜き価格で表記してあります。

lecomte_tarte_fraise_citron_chou.jpg


○タルト・シトロン - Tarte Citron -(\400)

しっとりとしたパート・シュクレに酸味の鮮やかなレモンクリーム。上にはメレンゲに焼き色を付けて、砂糖が振ってあるスライスされたナッツを2枚。非常にシンプル。ちょっとシンプル過ぎて、若干後悔しました。もはや僕の心がピエール・エルメのタルト・シトロンへと向いているからでしょうか。奇抜ではないけど、ココがイイんだ!…というものもイマイチ感じませんでした。

○シュー・ア・ラ・クレーム - Chou a la Creme -(\300)

硬めのシュー皮にナッツが散りばめられた横入れ式のシュー。中のカスタードは甘さ控え目で、バニラ風味よりのもの。…うーん、普通。これなら僕は200円台前半辺りでパリセヴェイユにまっしぐら突っ走りますねえ。硬い皮のシューの中では実にオーソドックスな味ですが、あまりにオーソドックス過ぎて、その値段が負担に感じてしまいます。

○タルト・フレーズ - Tarte Fraise -(\500)

小振りなイチゴが6つ乗ったタルトレット。作りも全体的に小振りです。全面をイチゴのジャムでナパージュ、2つだけピスタチオが上に添えられています。正直、この大きさで500円超えは「高いなあ…」と思ったんですが、ミルフィーユがもっと高かったので、何となくこっちにしました。

生地は中にシャンパンをたっぷりと染み込ませてあります。大人しい、というのがふさわしい印象。大人っぽい、落ち付いてる、っていう意味も含めて。ただ、ちょっと遊び心を求めているフシが今の自分にはあるので、ちょっと掴みが弱い印象があるんですよ。

確かに一個一個に品を感じさせるイチゴも美味しかったんですが、これで400円台前半だったらもう少し評価は高かったな…と。というか、タルト・フレーズというものにこの価格を出すなら、間違いなく僕はフラウラへ行きますし、こうなってくるとやっぱりエーグルドゥースのタルトレット・オー・フレーズは最高だよね!っていう言い方をしてしまわずにはいられなくなってしまいます…。

ここまでベーシックな作りを貫くのであれば、オーボンヴュータンのように、プラスちょっと大人の誘惑というか魔力みたいなものをチラつかせてくれる、ほんの少しの間、自分を大人びたマセた気分にさせてくれるお店の方向へ、僕は爪先を向けてしまうだろうな、と。

今回の総評:甘い誕生日、とはいかず…(笑)
posted by 照乃芯 at 00:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | パティスリー(未分類) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月26日

八雲/Chocolat BEL AMER(1):ミルフィーユ・オ・ショコラ、ジュレ・カフェ

先だってから東急フードショーのThis Weekに出店しているベルアメールでもこないだケーキを買いましたので、アン・プチ・パケのエントリーはもうしばらくお待ちください。素材が多いので追い付かない状況です。

先日タダシ・ヤナギ八雲店に行った時に通りかかったのがベルアメールの八雲店でした。近いうちに行きたいなと思っていたところ、偶然先週末にフードショーへ立ち寄ったら出店していたので、前から気になっていたショコラ・ミルフィーユと、春に出た新作との事で店員の方にオススメしていただいたジュレカフェを買いました。

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以下コメントです。ちょっとヨロシク。

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○ミルフィーユ・オ・ショコラ - Mille Feuille au Chocolat -(\483)

ほろ苦いサクサクのブラックココア入りパイ生地に、クーベルチュールをたっぷり混ぜこんだ濃厚なカスタードと、まろやかなカスタードクリームをサンド。…という解説です。

かなり背の高い。大きなミルフィーユ。食べる前からブラックココアの苦い風味が伝わってきます。上面はナパージュされてるんでしょうか。粉砂糖が斜めに振ってあります。見ての通り、重厚な見た目と味です。苦味が深く、美しい。まさにベル・アメール(美しい苦味)ですね。ショコラティエでもこれほどのミルフィーユが食べられるのは驚きました。フィユタージュも実にサクサクで、フォークだけで切り分けるのは大変。…デザートナイフが欲しいのはヤマヤマなんですが、下北沢『ban bana』の「すだれBOX」に合う大きさのものがなかなか見つかりません。もうしばらくの辛抱です。

ショコラのミルフィーユといえばリュー・ド・パッシーがやっていたと思います。3月に行った時は「ショコラ」ではなく「イチゴ」でしたが、おそらく季節によって変わるのだろうと思うので、今度折を見て食べ比べをしてみようと思っています。今回見送ったエクレール・ショコラも、両店のものを食べ比べしてみると面白いかも。

チョコそのものという部分ではさすがにショコラティエで出すチョコには適わない面もあるでしょうが、長島シェフはいい素材をいかに使うかを追求される方なので、何かキラっと光るものを見せてくれるのでは…と期待しています。

八雲(都立大学)のベルアメールと、学芸大学のリュー・ド・パッシー。ショコラ、あるいはショコラとコーヒーを扱うお店としてはどちらも素晴らしいお店だと思うので、選ぶのに悩みますね。しかも、ここにタダシ・ヤナギ、自由が丘にはパリセヴェイユも加わってきますから、これは大変です(>_<)

belamer_gelee_cafe.jpg


○ジュレ・カフェ - Gelée Café -(\399)

ティラミスをイメージした3層のコーヒーゼリー。マスカルポーネ・クリームとコーヒーのハーモニーです。上面には砕いたナッツが散りばめられています。これは新作だそうです。もう一つ、タルト・ショコラ・フリュイだったかな? 新作が隣にもありました。

ま、これはすごく普通な感じです(笑)
マスカルポーネの風味はそれほど強くなく、あっさりと食べ易い印象。

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Chocolat BEL AMER(ショコラ・ベルアメール)

住所:東京都目黒区八雲1-4-6
最寄駅:東急東横線「都立大学」駅下車、徒歩2〜3分
営業時間:10:30-19:30
定休日:不定休
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今回の総評:悩めるショコラ

渋谷から続く東横線沿線はショコラの激戦区ですね。ショコラティエもあれば、香りを自在に操るパティシエもいれば、素材を巧く使う技巧派もいれば、イデミやアルノー・ラエールの流れを汲む濃厚なショコラやムースを使ったケーキを生み出すパティシエもいる。これは悩みますね。気分に合わせて、という足の運び方がこの上なく贅沢に思えてきます。
posted by 照乃芯 at 01:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ショコラ・ベルアメール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月17日

都立大学(八雲)/Pâtisserie Française Tadashi YANAGI(1):ジュピター、エクゾティック・ショコラ、ブリーズ・ア・ラ・マント、ドーム レジェ

さる15日の土曜日の午後、神奈川県の海老名に本店がある柳正司シェフのお店「タダシ・ヤナギ」の八雲店に行ってきました。東急東横線各駅で「都立大学」駅下車。改札を出て左、つまり北口から100mほど進んで目黒通りに出ます。信号を渡ったら左へ徒歩5〜6分。大きな通りのせいか、割と距離を感じるかも知れません。途中にはショコラ・ベルアメール八雲店があるんですね。知らなかった。今度行こうと思います。

ちなみに、ここは都立大学があるわけじゃないんですよ。今は南大沢。昔あった名残りですね。バス停とか電車の駅はそういった名残りで付ける事が多い。学芸大学も、付属高校はあるけど、大学は別の場所。だから、下目黒の「元競馬場」とかも…あ、これは「元」って付いてるか。今の府中競馬場があった場所ですね。

さて、到着したのは3時半。土曜日のこの時間でも品揃えは十分でした。今回買ったのはタイトルにある4つ。…そういえば、いつも大体4つですね。3つだと正直少し物足りないんですよ。ものによっては小さい場合もあるから。4つだと、なんかちょうどいい。別にそれで起承転結という風にうまい具合に行くわけではないんですが、一つの流れとして捉えた時、4つという数はしっくりくるような気がします。なんとなくその辺を頭の片隅においてショーケースの前で選んでいる時が、なんか愉しいですよね。

で、どうしても今日買いたくて外せないのがあった場合は5つとかいっちゃう。プラス焼き菓子、ヴィエノワとか。毎日食べるわけじゃないからイイんじゃないかな。ハハ。

残念ながら、この日買おうと事前にチェックしていたファンテジーやポミエなどはありませんでした。季節柄の問題なんでしょう(ポミエは秋冬限定だそうです)。また来た時の愉しみが出来たと思えば…

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というわけで、以下コメントです。ちょっとヨロシク。

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○ジュピター - Jupiter -(\472)

言わずと知れたスペシャリテ。グラッサージュの上に漂うナパージュの木星。ほんの少し間、我々を小宇宙の旅に連れ出してくれる魅惑のケーキです。タダシ・ヤナギのドラマティックなロードショーの幕開けです。エーブリィデェーイ、アイリッスントゥーマァーアイハー。

薄らと金粉のようなパウダーがかかっているのが確認していただけているでしょうか?
まるで木星のダストリングのような煌めきです。ロマンティックです。

土台はアーモンド風味のチョコレートスポンジが厚くとられており、上にはショコラムース、中にアールグレイのブリュレが入っています。全体的に非常に柔らかく、アールグレイがほどよい香り。使い方としてはすごく好きですね。紅茶って、やり過ぎてしまうお店に時々出逢うんですが、そういうお店の紅茶を使ったケーキって、もう二度と食べたくなくなってしまうんですよねえ。

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○エクゾティック・ショコラ - Exotique Chocolat -(\399)

柳シェフのお勧め、レコメンドでございます。ミルクチョコレートにパッション・フルーツの酸味をプラスしたケーキ。とにかくパッション・フルーツの香りが際立つケーキです。

下からショコラ・ビスキュイ、ほのか香るパッション・フルーツの入ったショコラ・ムース、再びショコラ・ビスキュイ、ミルクチョコレートのムース、上部にパッション・フルーツのパキっとした酸味が広がるパウダーが右から左へ薄くグラデーションをかけたように振られています。これはね、後で書きますが、風流の域に達してるかも知れないです。

その上に柔らかく螺旋を描いたチョコ・プレートの装飾。ケーキとの接地面には2点、飴のしずくを打って固定してありますが、これも包括的アート・ワークの一つらしく見えるほど繊細で美しいです。俗な言い方をするなら、「丁寧な仕事をしている」と言えます。

もうね、ジャパン。これは、ジャパンですよ。
出ー会いはっ、おーくせんまんのぉ、胸さわぁーぎィ! 眩いばかりにエクゾティック。

エクゾティーイィーック……


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すごく気にいってしまいました。酸味が素晴らしい。「味覚としての酸味」を愉しませてくれるケーキなら、例えば前回紹介したエーグルドゥースのラクテ・フランボワーズのようにいくつか出逢ってきました。

しかし、風味・香り…つまり「嗅覚としての酸味」をここまで演出してくれたケーキに出逢ったのはこれが初めてだと思います。値段も割と安いし、大きくて食べ応え十分です。

タダシ・ヤナギの入門編がジュピターなら、このエクゾティック・ショコラは実践編、とでもいいましょうか。「それではタダシ・ヤナギの放つ、魅惑の香りの世界のチュートリアルがスタートです…」という印象。これはほんとに「オススメ」そのものですよ。「買い」です。

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○ブリーズ・ア・ラ・マント - Brise a la Menthe -(\472)

柳シェフの新作です!

「そよ風を思わす爽やかなミントのムースとチョコレートクレームのハーモニー」という説明があります。

下からショコラ・ビスキュイ、ショコラ・ガナッシュ、ミントをたっぷり打ったスポンジ、そしてミントのムースです。全体にツブツブが見えますね。ミントの葉を細かく刻んだものだと思います。さきほどのエクゾティック・ショコラにも共通して言える事ですが、幾層にも重ねられた縦走的な作りが印象的です。それぞれをまとめて一口で味わうと、ほどよいアンサンブルが伝わってくるのです。

上にはフランボワーズが一つ、アールのついたチョコ・プレート、その周辺を飴のしずくが打ってあります。…この飴の打ち方が、ため息を付きたくなるくらい美しいです。やはりショコラとミントの相性って抜群ですね。

ミントの爽やかな香りとフランボワーズ。ここでもやはり酸味がキーワードです。甘さは極控え目です。タダシ・ヤナギのケーキは、甘さそのものについては、割と控え目なんですね。その代わりに香りや風味を主張する。やはりこのシェフも引き算の上手い方だと言えます。

ですので、このケーキにはすごく驚くような目玉的な隠し味、といったものはないですが、こういうのはごくシンプルなのがよろしいのでしょうね。サーっと流れるような爽やかな春の風。細かく刻んだミントの葉が風でそよぐような、そんなイメージです。ここには風流がありますね。

ただですね、後で気付いたんですが、ミントムースの下、ミントをたっぷり含んだスポンジの上に何か打ってあるように見えるんですよね。それが何なのか気にはなっていたんですが、ハッキリと舌の上で確認できるほどの存在感がなかったので、判りませんでした。もう一回食べて確認したいところです。

しずくの打ち方などでは、リュー・ド・パッシーの長島シェフも同様の美しい仕事をされる方ですが、柳シェフの場合、どこかその美しさに「和」を感じさせるものがあるように思います。佇まいが十分「和」になってる。今回買った他のケーキも同様に、僕はそれらのデザインに「和」を感じました。ムースの色合いにしても、パッション・パウダーの振り方にしても。更に「香り」。言い換えれば風味。これは「和」ですね。風流とは流れる事であり、移ろう事。風流とは日本、和だと思います。

和を認める時に風流があるかないか、というのは日本人としてかなり重要ではないでしょうか。風流がないものに僕は「和」を認めるわけにはいかない、という考え方をしています。

例え和素材ではなくても使い方に風流が認められれば、それは「もはや『和』」であると。「和」っつーか、「もはや『和』」。洋菓子そのもののはずなのに、もはや『和』だね、っていう。

見るからに和素材を使っていてもそこに風流がなければ、それは「和素材を使ってみたよぉ的なケーキ」でしかないと思います。つまり方法論でしかない。処方箋では健常になった時に意味がない。和とは日本人の遺伝子レベルに内在する、土着ですね。和(精神)と洋(肉体)の融合。これが日本人のケーキではないでしょうか。風流を知ってる日本人だから出来上がったケーキ。そんな感じがします。

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○ドーム レジェ - Dome Leger -(\451)

この八雲店のみのラインナップ、八雲店限定ケーキです。海老名本店限定のケーキもいくつかあるそうですが、八雲限定もあるんですね。これは、両方来いという事でしょうか?(笑)

「軽めのチョコムースの中にウイスキー風味のクリームとホワイトペッパーの隠し味」という説明です。ウイスキー風味のクリーム、という部分に惹かれました。大人じゃないの。

上部にあしらった二枚の丸いチョコプレートのまだら模様が、最初に食べたジュピターのナパージュ部分をオーバーラップさせるようで、今まさに映画のエピローグに差し掛かっているような趣を感じさせてくれています。その日の体調によっては、この二つを入れ替えてもいいかも知れません。最初に結末を見せて、その後辿ってゆく、という表現方法も、映画では多く取り入れられている手法ですので。

「最初のケーキと最後のケーキとで物語の韻を踏んでいるかのような」。…この部分は井上雄彦の止め絵風でお願いします(笑)

前面に敷かれている「Tadashi YANAGI」の黒いカードがエンディングのスタッフロールのようでもある。…うん、確かに今日食べた4つのケーキは一つの映画でした。支払い合計が1795円でしたから、大人一枚1800円のロードショー・ムービーを観たのと同じ事ですね。「演出・脚本・監督:柳正司」です。ロケ地:八雲(笑)

いい映画だったと思います。


さて、ケーキの方ですが、全体的に赤っぽいパウダーがかかっていて、その中がウイスキー風味の白いクリーム。ウイスキーをよく飲まれる方なら判ると思いますが、一杯飲んだ時に舌先からサーっと広がるウイスキーの苦味といったものが、クリームの味を演出しています。ウイスキーの好きな人は最初の一口で気に入るでしょう。僕も気に入りました(笑)

全くキツくないんですが、アルコールが一切ダメな人はここで拒否反応を示すかも知れないですね。チョコムースと一緒に食べてしまえばさほど気になるレベルではないように感じるんですが、それは酒飲みの意見でしょうか(汗)

土台はアマンド・ビスキュイですね。舌先に一瞬ツンと来るような感じや、食べた後に口や喉の奥に残るスパイシーな後味がホワイトペッパーでしょう。ウイスキー好きな人は最初に一口食べた時に、チョコとペッパーの組み合わせに寛容な人には食べ終わった時に、満足感を与えてくれるんじゃないかと。派手さはないですけど、しっとり愉しめるケーキですね。

あと、最後に接客ですが、すごく丁寧です! 恐縮してしまいました。ここまで丁寧な接客はレピキュリアン以来です。


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Patisserie Francaise Tadashi YANAGI(タダシ・ヤナギ) 八雲店

住所:東京都目黒区八雲2-8-11
最寄駅:東急東横線「都立大学」駅北口下車、目黒通り沿いを左へ徒歩6分
営業時間:10:00-19:00
定休日:水曜日
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今回の総評:「和と風流について」(続きはこちらから)
posted by 照乃芯 at 01:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | パティスリー(未分類) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月12日

目白/Aigre Douce(3):カスレット、ラクテ・フランボワーズ、クレーム・キャラメル、クレーム・ドゥ・フロマージュ、ケーク・キャラメル

日曜日の午後、エーグルドゥースに行ってきました。3回目です。もう完全に月一リピです。

…嬉しいんです。火曜日くらいからずっと嬉しかったんです。今日エーグルドゥースに行けるというのが、すごく嬉しかった。初めの2回がまだドキドキしたものだとすれば、3回目は、もう嬉しくて仕方ない。好きな女性に逢いに行くような気分。

といっても、品川でのんびりしてたら到着が4時になってしまうという自業自得エンターテインメント。

ところがその時間でもお客さんが結構いて、イートインスペースも満席でした。2卓しかないんですけどね。それでもほぼすべてのケーキが並んでいる安心感は、やっぱり嬉しい。コスト意識は大切だけど、「今から揃えても売れ残るから作らない、売り切れ御免」的な感覚のお店だと残念ですよね。ここはそうじゃないから嬉しいのです。

以前食べたドゥース・フレーズが綺麗に売り切れてましたが、その他のケーキ(レガル・カフェというケーキ)も最後の一個が売れると同時に沢山補充されていました。自分が店を出た後にきっと出来立てのドゥース・フレーズが並んでいた事でしょうね。

ちなみに、今月末の25日、26日、27日辺りが「勉強会」という事でお休みだそうです。27日はちょっと自信がないですね…。24日だったかな? あと5月2日も休みだったような。

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というわけで、以下コメントです。ちょっとヨロシク。

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○カスレット - Cassolette -(\420)

前回来た時に、女性のお客さんに譲ったために買えなかったエーグルドゥースのスペシャリテをようやく購入。

シュークリームがキャベツに例えられるならば、このカスレットはまるでジャガイモ。ジャガイモの皮を器にしたジャガイモのグラタン、といった雰囲気。上面をカラメリゼしたその中身にはキャラメル風味のバナナとカスタードがたっぷり詰まっています。カラメルに苦味があっていいです。ラム酒の風味もあります。

都会的に洗練されたフォルムを持つケーキもあるにはあるんですけど、こちらのケーキは洗練とは逆を行く、片田舎の畑の土臭さ、風の息吹、ママやおばあちゃんが作ってくれたオヤツのような家庭的な、生活の音が聞こえてくるようなケーキなんです。洗練に対して土着感のあるケーキと言えます。ここらへんがエーグルドゥースのたまらなく好きなところ。

さて実食。このケーキは他のケーキとは別に、スプーンを使って食べました。フォークで食べるのは無理がありそうな感カがしたんで。

中へ入れると、キャラメルでソテーしたバナナが顔を覗かせます。ザックリ感がいいですね。これをスペシャリテにする理由は、やっぱり土着、フランス菓子を伝えたいという部分からくるんでしょうね。それぞれははっきりした味ではあるけども、スタンダードでベーシックなケーキもあって、間口の広さを感じさせる。その一方で、洗練されたケーキも作る。そのバランスを組み合わせていくつかまとめて食べると、このお店の良さが強く感じられると思います。


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○ラクテ・フランボワーズ - Lactée Framboise -(¥450)

これは初めて見るケーキでした。非常に洗練された外見。最初はフレジェを買う予定だったんですけど、もう今季は終わったのか、たまたま今日はなかったのか、ショーケースには一つも無かったので、同じ値段のこちらのケーキを選択。チョコ系はそろそろいっとこうと思ってたところでした。

まず、しっかり焼かれた分厚いタルト生地に、濃厚なアーモンドクリーム、その中心にはツブツブ感の残るフランボワーズのジャムが入っています。上面にはアーモンドスライスがゴジラの背中みたいに刺さっていて、その上を全体にミルクチョコレートでアイシング。このチョコはどこのチョコを使ってるんですかね?

最上部には半分にカットされたフランボワーズが2片、その横に、より光沢のあるチョコソースがかかり、更に金箔が添えてあります。

…このフランボワーズのジャムがまた酸味が強くて美味しいこと美味しいこと! 口に入れた瞬間たっぷり濃厚であるはずのアーモンドクリームの甘ったるさを、ビシっとシャープに征するように口に広がるフランボワーズのジャム。すげえぇえぇえぇ!!!

上に乗ってるフランボワーズは別にそれほどね、気を引くようなものではないと思うのです。いいフランボワーズだとは思うんですけど、上に乗ってるのはあくまで装飾的というか。

むしろ、中にあるフランボワーズ・ジャムの個性がすごいんです。もうツブツブ。コンフィチュールは順番からいえば最後の方に回すつもりだったけど、ケーク・シリーズを除く焼き菓子を差し置いて先に手を伸ばしてしまいそうな予感。やっぱり「甘くて酸っぱい」お店なんだな。

一応このケーキはチョコ系っていう意味で直感を頼りに選んでみたわけですが、フランボワーズの使い方によっては、チョコとフランボワーズの組み合わせってこんなに感動させてくれるのか、と確認した思いであります。ここまでちゃんと酸っぱいってのは嬉しいね嬉しいよ。

あー、いいものをいただきました。この先もずっと食べていきたい一品です。これはオススメ。ススメます! フランボワーズ(withチョコ)が好きな人は一度いっとくべきかと。

ちなみに、タルト台の下の滑り止めとして塗ってあるジュレはアプリコットのものでした。なんかイイっすね、これ。エーグルドゥースで最初に食べたチョコ系がこんなにメガヒットするとは。

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○クレーム・キャラメル - Crème Caramel -(¥260)

低温で焼いた硬目のプリン。味は、正直普通です。ただ、最近のプリンはどこで見ても「なめらか」ですので、こういう王道的なプリンは懐かしく感じます。そろそろこういうプリンに戻りたいなと感じていたところだったので丁度良かった気がしました。

普通にクリーム部分だけ食べてると、思いっきり普通のプリンにしか感じないんですが、カラメルにぶち当たった途端、意外な個性を発見します。カラメルが非常に苦いですね。お酒がバッチリと効いています。このカラメルだけスプーンですくって食べようとはしない方がいいかも…。

カラメルに行き着くまで半分以上食べてしまったので、カラメルの強さが上回り過ぎてしまいました。早いうちにカラメルと混ぜておくといいバランスで食べられるんじゃないかと思いました。

硬いクリームとか、苦いカラメルとかいう方向性自体はすごく好きです。ちなみに一番好きなプリンはマーロウなんですが、あちらのカラメルは煮詰めた結果によって醸し出された黒い苦さだとすれば、エーグルドゥースの方は洋酒の効かせ方が強い、赤い苦さという印象。この赤い苦味は想像以上に強いので、人を選びそうですよ。ちょっとピリっとくるんです。「おお、ヤベエ!」って感じです(笑)

○クレーム・ドゥ・フロマージュ Crème de Fromage -(¥370)

当初は、もう一方のトランシュ・フロマージュを買うつもりでいましたが、実際にお店で見た限り、トランシュ・フロマージュは随分と薄く見えたので(笑)、高さ十分なこちらのクレーム・ドゥ・フロマージュを選択しちゃいました。それでも値段は一緒でした。

向うは、しっかりと焼いた濃厚なベイクドな感じで重厚、こっちはふんわりとしてサッパリした軽さのある感じ、という印象。トランシュ・フロマージュは次回いってみます。

さてこのクレーム・ドゥ・フロマージュは、フロマージュ・ムースの間にアプリコットのシロップを上にばっちり打ったスポンジを挟むという構成です。スポンジは割と薄いものになっていて、アプリコットのシロップが混ざっています。これが2対2層になって、最上部に控え目なシャンティーがクルクルとデコレートされています。単なるシャンティーというよりも、わずかに風味も感じました。

このシャンティーを舐めた後にフロマージュのムースを舐めると、フロマージュのコクを随分と感じるのですが、フォークを入れて全体を通して味わってみると、意外にもフロマージュがかなり控え目に変身し、アプリコットが代わって前面に迫り出すような、入れ替わり立ち替わり、といった様子を見せます。全体的には食べ易い万人受けしやすいケーキだと思います。

はっきりとした甘いケーキが並ぶ中で、割と食べ易いケーキもエーグルドゥースには並んでいる事が多いと思うのですが、このケーキはそういったラインナップの一つではないかと思いました。これでイマイチならさきほど挙げたベイクド・タイプのトランシュ・フロマージュを選択するといいのではないでしょうか。…それでもダメなら、…チーズケーキファクトリーとかしろたえ辺りで(笑)

aigredouce_cakecaramel.jpg

○ケーク・キャラメル - Cake Caramel -(¥1,050)

ついにケークシリーズへ手を伸ばしてみました。となれば、最初はやっぱりこれしかないでしょう。

エーグルドゥースのお店の匂い、っていうのがあるんです。どこの洋菓子店でもある程度甘い匂いがするものですよね。ただ、エーグルドゥースの匂いはタルト生地の匂い、そしてキャラメルの匂いなんですよ。今日やっと判りました。いや、別に匂いフェチではありません。

上部を覆う、このガリガリのキャラメル。すごい。フォークもナイフも入っていかないこの反発力というか抵抗感というんですか。もちろん、もう少し力を入れれば大丈夫です。生菓子の感覚でフォークやナイフを入れるとはね返される、といったレベルの硬さです。ガッチリとキープされたカラメリゼは日持ちします。長さは全長25〜30cmといった感じでしょうか。

一方、その香ばしいキャラメルの匂いとは裏腹に、生地自体は非常に食べ易さがありますね。見た目にはこれだけバッチリとキャラメルがかかっているので、まだ未体験の方にはさぞかし甘〜く見えるかもしれませんが、その甘さは実に控え目、程よい苦味と香ばしいキャラメルの食感。ただただ美しいの一言。

ただ、すでに4ツも生菓子を食べているので、ケーク・キャラメルは2回に分けて食べる事にしました。っていうか、翌日も食べたいなと。ちょうどチップのある辺りでこの日は止めました。

(追記)
翌日、残り半分を食べました。冷蔵庫に入れておいたせいか、上面のキャラメルは、より固く感じられました。しばらく置いて常温に戻してから食べるのがよさそうです。あいかわらず美味しいですね。箱に記載されている賞味期限は15日の土曜日まで。つまり一週間は持つという事です。すごいですね。

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エーグルドゥース(Aigre Douce)

場所:東京都新宿区下落合3-22-13
最寄駅:JR山手線「目白」駅より徒歩5〜6分
営業時間:10:00-19:00
定休日:水曜日(祝日の場合は翌日)
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今回の総評はこちら
posted by 照乃芯 at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | エーグルドゥース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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